移動カフェの始め方と課題について開業した僕の体験から記事をまとめます。
ベースにする根拠と経緯は下記のとおりです。
- 22年勤めた会社を辞めて飲食経験ゼロから移動カフェを立ち上げた。
- 車内と設備に工夫を凝らして車いすでも対応できる移動販売車が出来あがった。
- 車いすの状態で果たして飲食店営業ができるのかじつは不安だらけだった。
- 夏場の猛暑や電源と出店先の確保の問題などいろいろと大変なことも多かった。
- 無謀なチャレンジだったような気もするが、じかにお客さんに喜んでもらえるカフェの仕事は楽しかった。
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ではご興味をいだだけたら続きをどうぞ!
飲食経験ゼロから移動カフェの立ち上げ
2011年から約4年ほど移動カフェで自家焙煎珈琲を使ったドリップコーヒーとスモークチーズをメインにイベントなど出店していました。
焙煎機の盗難に遭いおよそ4年で廃業することになりましたが、移動カフェの仕事はいま思えば楽しかったです。
もちろん大変なことも多かったし、良い思い出ばかりではありませんがいまではチャレンジしておいて良かったと思ってます。
さてそんな移動カフェ開業の進め方についてぼくの経験から流れをまとめます。
- 資金の用意
- 移動販売車の準備
- 商材の決定
- 食品衛生者講習の受講
- 保健所での窓口相談と許可申請
- 出店場所の確保
以上がざっくりした流れです。
ではぼくが開業までに行動しておいたことをまとめます。
ぼくが対応したこと
- 料理教室に参加
- 珈琲教室に参加
- 創業塾の参加
⇒創業支援と融資先紹介につながった(事業計画書の作成)。
- 先輩同業者さんにインタビュー
⇒車いすで対応する移動販売車の対策に役立てた
ちなみにぼくが開業に使った資金の総額は約300万円です。
貯金と融資で用意しました。
すでに移動カフェを開業されている店舗さんや経営者さんを訪ねインタビューさせてもらったおかげで工夫を凝らした移動販売車を作り上げることができました。
たとえば車内で使う電気機器の電源コードの処理です。
何も工夫せずに普通にやってしまうと狭い車内はコードでぐちゃぐちゃです。
そんな問題が発生しないようにクルマの側面に外部電源を接続できるようにコンセントの差し込み口を設置してもらい、車内の電源はすべてそこの集約するようにしました。
食品衛生者講習と保健所の営業許可
フグとかを扱う特別な料理でなければ食品衛生者講習を受けるだけで飲食店を開業できることは意外でした。
つまり調理師免許とか持って無くても飲食店営業は可能だったりします。
もちろんこれは人間に対しての許可です。
物件である移動販売車にも保健所の認可が必要です。
移動販売車の場合は保健所に車両を持ち込んで許可をもらいます。
移動販売車の車内寸法には規約が決められています。
車両をオーダーする前に保健所での取り決めを確認されることをおすすめします。
移動カフェの課題としんどさ
大変なのはやはり出店場所の確保です。
どこでも良いワケではありませんし、道路上は出店できません。
家賃と売上の兼ね合いも検討する必要があります。
あと電源の確保もなかなか悩ましい問題でした。
開業時に発電機も購入していましたが、中国製だったため数回の使用でお亡くなりになってしまいます。
知り合いがホンダ製の発電機を持っていて電源が確保できないイベントに出店する際は借りて営業していました。
しかし長時間の営業で燃料が切れ、発電機に給油が必要になります。
ぼくはクルマいすなので発電機の出店が必要なイベントの場合だとひとりで対応することができないのでお嫁ちゃんと二人で出店してました。
けれどイベントのルール変更で発電機の給油は禁止になったり、福知山花火大会での痛ましい事故もあり発電機での営業は事実上難しいものになりました。
なので移動販売車で快適に営業するには電源が利用できる出店先の確保が課題です。
夏場の酷暑も大変
夏場の猛暑も結構きついものがあります。
ぼくは狭い車内に縦型の扇風機をなんとか置いて暑さをしのいでました。
午後からいっそう暑さが厳しくなる時間帯は水を凍らせたペットボトルを首に巻きつけて熱中症対策です。
冬場は着込めばなんとかなりますし、車内なのでまだ雨風を防げるので冬場はそれほど苦になりません。
移動販売車にとって夏場は鬼門です。
できればクーラーとかの設備が欲しいところですが、設置スペースや室外機の問題などそうカンタンにクリアできることではありません。
もしクーラーの設置を想定するならヤマト運輸さんが配達車両に使うような大型バンがベース車両として妥当になるかと思います。
ぼくが移動カフェにつかったベース車両は1500ccクラスのバンだったので車内スペースは、まだ余裕はある方でしたが営業に必要な機械や容器を収納するだけで精いっぱいでした。
移動カフェの仕事は楽しかった
いま思えば無謀な挑戦とも思える移動カフェの開業でしたが、行動して良かったと思ってます。
開業してすぐに焙煎機を購入し、自家焙煎にも挑戦しました。
自家焙煎は仕入れの豆を使うよりも選択肢と自由度が高くなります。
自分が選んだ豆をお客さんに提供できる喜びもまた違うものになります。
結果的に開業後4年を迎えたタイミングで焙煎機の盗難に遭い廃業を決意しています。
そんな意味ではぼくのビジネスは失敗だったかもしれないです。
でも会社員の人生では出会えなかった人と知り合えたり、得られなかった達成感がありました。
夏場のしんどさを考えるともう一度できる仕事ではありませんがコーヒー豆の焙煎に出会えたのはぼくの人生で大きな収穫です。
移動カフェの経営を失敗した人間が語れるノウハウ
ぼくの移動カフェ開業は結果的に失敗しています。
なので偉そうに語れる輝かしい実績なんてありません。
けれど移動カフェにチャレンジした人間の経験から言える「こんな感じだった」を紹介します。
出店先の確保と紹介
イベントなどに出店していくと同業者さんと知り合うことが多くなります。
出店先で情報交換し合ってイベントの紹介や新たな出店先を教えてくれたりします。
主催者さんから紹介を求められる場合もあり、商材にマッチする人に連絡をとったりします。
こんな感じで出店できるところの選択肢が増えていきます。
もちろんあちこち行くのも限度があるので、優先するところが次第に固まってきます。
あとは出店料(家賃)と売り上げの兼ね合いです。
移動カフェの家賃
固定店舗を持たない移動カフェですが、出店先で出店料を収めます。
イベントの規模や主催者さんの考えによって出店料や形態はまちまちです。
いくつかのパターンを示します。
出店料の形態
- 売上の〇%を収める
例えば売上の10%を出店料として払うケースがこの形です。
- 売上に関わらず5000円(例)
小さなイベントの出店はほぼ3000円~5000円くらいの出店料が多い印象です。
売上でコケたとしても出店したこと自体を宣伝と考えたらまあいいかと割り切れる金額です。
大規模イベントの出店料
大規模音楽イベントの【サマソニ】なんかも大儲けできそうな出店先です。
でも個人経営の店が対応できる規模ではありません。
得られる売上は何十万あるいは何百万規模ですが出店料も何十万規模です。
仕込みも半端な分量ではありません。
こんな大規模イベントに出店を検討するとなるとチームや組織を構成したアプローチが必要になります。
事前にかなりの準備が必要となり天候や災害、最悪のケースで中止となった場合は想像以上のダメージを受けます。
もし大コケしてもすぐに損害を回復できる出店先を確保してないと即終わりです。
ネットワークに所属して出店先を確保する方法
移動販売の出店先を確保するうえで組織に加入して動くことも可能になっています。
ぼく自身は対応できる経営ではなかったので検討したことはありませんが、ランチ営業がウリの商材を持つ店舗さんなどはメリットがある印象です。
移動カフェの始め方と課題を脊損が語る!まとめ
ぼくの飲食店の仕事は中学生時代の皿洗いと定時制高校時代にケンタッキーフライドチキンで働いた経験があるだけでした。
ただやってみたいという気持ちだけで移動カフェをはじめました。
今考えると無謀だったなと思います。
でも行動してこそ得られるものありました。
車いすであることをお店の全面に出すことで同業者さんやお客さんから応援してくれる人も表れ本当に良くしてもらったと思います。
移動販売の仕事は思っていたより体力的にハードです。
冬の寒さと真夏の厳しさも体に堪えます。
そんな意味でずっと続けられる仕事ではないですが、体力のある若い頃にしかできない仕事かなと思います。
華やかなイベントで出店する楽しさもありますし、いろいろな人と会話が楽しめる魅力もあります。
気に入ってもらってお客さんが追っかけてくれたりする嬉しさも経験しました。
ハンデがある車いすでの移動カフェ経営でしたが、むしろ車いすということが最大のウリだったのかもしれません。
もう一度同じことをやるのはさすがにキツイものがありますが、移動カフェで学んだ珈琲豆の焙煎を何かの形で活かしたいと思っています。
移動カフェを開業するために勤めていた会社を辞めたのは確か41歳でした。
移動カフェの開業と失敗でぼくはジリ貧生活に陥り、ゴリゴリの倹約生活を全力で送っています。
でも後悔していません。
後悔すれば自分の人生を否定することになります。
宇宙レベルで考えたら人間の一生なんて100歳まで生きたところでほとんどゴミです。
だったらやりたいことをやった方が素敵です。
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