下半身不随でバイクに乗る!を実現した手動装置の改造と障害をカバーした方法

ぼくは17歳でオートバイ事故によって脊髄を損傷し下半身不随の障害を負いクルマいす人生を送ることになりました。

両足は動かなくなりましたが、どうしてもオートバイに乗りたくてサイドカーの購入を考えました。

サイドカーを取り付けたベース車両はカワサキの250ccオートバイ【エリミネーター】初期型です。

サイドカーならムチャな運転さえしなければ転倒することはありません。

今回の記事ではオートバイに取り付けた手動装置と改造を行った内容ををまとめて見ます。

脊損がオートバイを運転するための改造

足を動かすことのできない脊髄損傷の障害があるぼくは本来なら足で操作するチェンジペダルやフットブレーキを手で操作できるように改造を行いました。

胸から足に向かって下半身の感覚がないぼくはお尻の褥瘡(床ずれ)やエンジンと排気マフラーから出される発熱で火傷にも注意する必要があります。

そこでぼくはエリミネーター250に下記のカスタマイズを行いました。

  • フットペダル方式のギヤチェンジ構造を手で操作できるように改造
  • クラッチレバーの移設とハンドチェンジ
  • リヤブレーキとフロントブレーキの連動
  • ライディングシートを新規製作
  • シートベルトの設置
  • フットペダルに鉄板の増設と火傷防止プレートの設置

脊髄損傷の障害をカバーするためにぼくは上記のカスタマイズをエリミネーターに行います。

カスタマイズと加工には当時勤務していた会社での業務改善の経験が役立ちました。

溶接や金属加工などプロの作業が必要な個所の改造はオートバイを購入したバイク屋さんに製作取り付けをお願いしました。

では詳細を解説していきます。

オートバイのギヤチェンジを手で操作できるように改造

ギヤチェンジを手で操作するためにハンドルの左グリップに新たな構造を増設しワイヤーでチェンジロッドと連結しシフトアップ・ダウンの操作が可能な装置をバイク屋さんで製作していただきました。

製作と表現するとすごくカッコ良い響きでキレイな仕上がりをイメージします。

しかし実物は手作り感満載の素朴な仕上がりです。

構造としてはチェンジロッドに直径20センチほどの回転盤を取り付けています。

その回転盤の中心から両端にワイヤーを取り付けハンドルの左グリップにまたワイヤーを連結させています。

左クリップにはアクセルのような動きができる部品を新設しています。

左グリップを後ろと手前方向に回転させることでつながったワイヤーが回転盤に連結したチェンジロッドへと動きが伝わります。

こうしてシフトアップとダウンを可能にしています。

文章の説明では理解しにくいと思うので後日写真を公開します。

クラッチレバーの移設とブレーキのカスタマイズ

 
ぼくのエリミでは本来クラッチレバーのある個所にリアブレーキにつながるレバーを設置しています。

そして本来あるはずのクラッチレバーはチェンジ操作を可能にする左グリップに連結した2次ハンドルにレバーを取り付けています。

ハンドルの左グリップから伸ばしたバーにクラッチレバーを取り付けることでギヤチェンジの動作をクラッチレバーを握りながらバーを回転させることができます。

つまりぼくのバイクのハンドルにはレバーが3本ついています。

こちらも改めて写真を公開する予定です。

▼リヤブレーキとフロントブレーキの連動

オートバイを購入した当初はフロントブレーキとリアブレーキを連動させる構造を取っていました。

しかしエリミネーター250のリアブレーキはドラム方式となっています。

一方フロントブレーキはディスクブレーキなので方式の違うブレーキを連動した場合、ブレーキが効き始めのタイミングが問題となり制動力が不足することが判明します。

二つのブレーキを制動させるのでレバーを握り込む握力も必要になりました。

そこで前後ブレーキの連動はあきらめ分離することにしました。

幸いハンドルの左側には本来クラッチレバーが配置されるスペースは空きスペースになっています。

こうしてぼくのオートバイにはレバーが3つくっ付くことになりました。

ライディングシートを新規製作

オートバイでツーリングに出かけると座っているお尻が痛くなってきますよね?

ぼくにとってそんなツーリング中にお尻が痛いという感覚はもうずいぶん昔のことで、いまではどんな痛みだったかさえ思い出せません。

しかし脊髄損傷にとってその感覚は褥瘡になる危険サインなんです。

ですが残念ながら下半身不随のためにそのイタイという感覚が分からないのです。

車いすならロホクッションというエアーと分離構造でできた褥瘡予防のクッションを利用することでそれほど神経質に除圧を意識する必要はありません。

ですがオートバイでは対策が必要だと考えました。

1時間おきにお尻をプッシュアップする除圧のために休憩するのも面倒ですし、快適性を考えるとクッション性を高めたシートを作った方が良いと思いました。

そこでぼくはデフォルトのシートを捨てて、新規で製作することにしました。

ライディングシートの製作は業者に依頼せず自分で対応しました。

製作に用意した材料は下記の物です。

  • ステンレス材の一枚板
  • 車いす用のウレタンクッションハードタイプ
  • 合皮製のシート

上記の材料を切断加工しぼくは自作のエリミネーター用シートを完成させました。

安全面でのカスタマイズ【シートベルトの設置】

自作で完成させたエリミネーターのシートには体幹が効かないぼくの身体を保持するために少しの高さですが背もたれの構造も用意しました。

そして腰がずれてしまわないようにシートベルトも設置しています。

▼フットペダルに鉄板の増設と火傷防止プレートの設置

ぼくは足の感覚が全くないのでステップから足が落っこちてしまう危険性があります。

そこで足がステップに乗せやすく安定するようにプレートを増設しました。

ただステップに足が乗せやすくなっただけではちょっとした段差や反動で足が落っこちてしまうこともあるのでゴム製のバンドで固定できるようにしています。

こうしたカスタマイズと構造変更の改造は国土交通省が主管の近畿運輸局にて届出を行っています。

まとめ!オートバイにチャレンジできた理由と得られた宝物

ぼくが乗るエリミネーター250は87年に登場したもう33年前の年代物と言って良いバイクになってしまいました。

今ではフレームの塗装もあちこち剥がれてきています。

サイドカーの重量負荷があるので250の排気量ではパワー不足を感じる場面も多いですが自分で色々と手をかけてきた大切な相棒です。

致命的な問題が訪れるその時まで大事にするつもりです。

脊髄損傷のぼくがオートバイにチャレンジできた理由を考えてみます。

  • 中学校卒業と同時に金型加工の会社で切削機械を扱う経験があった
  • 社会復帰として勤めた職場で生産ラインの改善業務を担当する経験と発想力が役立った
  • 周囲の人間関係が危険だからと強引に止めることがなく応援してくれた
  • とにかくオートバイに乗りたい一心で突き進んだ

振り返ってみて鉄工所での金属加工の経験があったことと社会復帰して勤めていた担当業務が知恵を出す環境だったことがかなりオートバイライフに役立ちました。

いろいろと経験したことが役に立つものだと今ではつくづく思います。

こうした経験とオートバイに乗りたいという気持ちで不自由な身体でも大好きなバイクでツーリングを楽しむことができました。

長距離ツーリングでいちばん遠いところでは九州の宮崎県まで単独のフェリー旅も経験しました。

こちらの記事のその出来事をまとめています。

【関連記事】【ツーリング体験記】車いすユーザーがサイドカー付オートバイで単独フェリー旅を実現した方法

そのフェリー旅ではツーリストと呼ばれる【大部屋】で同席したバイク乗りの人達に本当に良くしてもらってバイクって良いもんだなーと改めて考えました。

オートバイを再び乗ることにチャレンジして本当に良かったと思っています。

今では僕にとってバイクに出会った人生は宝物となりました。

ライダーのみなさまは家族や身近な人達を悲しませないようにぜひとも、安全運転でツーリングとオートバイを楽しんでもらいたいと思います。

今回は以上です。

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オートバイ事故で脊髄を損傷し下半身不随の身体で50歳という年齢を迎えることができました。 交通事故で車いす人生を送ることになってしまいましたが30年間の中で色々とチャレンジしてきたことをこのブログでお伝えできればと思っています。 主なテーマはつぎのようなカテゴリーです。 ・障害や脊髄損傷に関すること ・オートバイとサイドカーに関すること ・エレキギターに関すること ・柴犬に関すること ・その他 取り留めない内容をお届けするかと思いますが、よろしくお願いいたします。