家電メーカー「シャープ」と言えばこの液晶テレビで大規模な設備投資をするもののわずか数年でリーマンショックが発生し甚大な影響を受けてしまったメーカーの一つです。
こちらの記事を用意している中で家電メーカーのシャープが2008年に巻き起こったリーマンショックで受けた損失と世界的金融危機に至ったシナリオを「ボクの観点」でまとめました。
どうぞよろしくお願いします。
活況を呈したシャープの液晶事業とその後
シャープは液晶パネル事業を拡大する為に三重県と亀山市より膨大な資金提供を受け2002年初めより液晶TVを製造する亀山工場建設に着工にかかりました。
2004年に第一工場の本格稼働を確認した翌年には当時の内閣総理大臣「小泉純一郎」氏が工場を視察するほどだった。
世界の亀山モデルとしてブランド化しさらに液晶工場を増設するなど派手な設備投資でまさに「イケイケドンドン」を表す状態。
誰もがシャープ液晶事業の成功を疑う事が無かったその時リーマンショックが世界を飲み込んでしまいました。
リーマンショックとは?
アメリカのローン制度として優良客よりも下位ランクとされる「サブプライム層」に貸し付けられる金融商品をサブプライムローンとして位置付けられた。
サブプライム層とはローンの審査が降りにくい社会的信用度が低いお客さんを対象としていました。
融資を受けたサブプライム層への債権を投資銀行リーマンブラザーズはアメリカの住宅価格の高騰を追い風に住宅ローンを金融商品として証券化しました。
投資家は住宅価格の値上がりを期待し証券を購入、相場価格が上昇したタイミングや満期まで保有し決済すれば売却益が得られるという仕組みです。
要するに株式投資と同じ原理ですね。
住宅ローンを債券として他の金融商品とセット販売されるほ人気証券となったサブプライムローンは大手投資銀行リーマンブラザーズをはじめとした金融会社が投資家に向けて世界的に取り引きされたのでした。
住宅バブル崩壊と債券焦げ付きへのシナリオ
しかし物事はそう上手く思惑どうりには動きませんでした。
売り尽くされた住宅は飽和し需給のバランスが崩れ始め、いよいよ2006年ごろから価格を下げ始める事になります。
(当たり前だ)
まるで収穫量が多すぎた場合の農作物と同じですね。
そして価格を下げた原因は住宅供給過多だけではありません。
サブプライム層を対象にした住宅販売には購入を後押しするために購入者は一定期間は金利の安い条件となる変動金利でローンを組みこんでいました。
しかしこの変動金利が「仇(あだ)」となります。
住宅価格が下がる状況のなか金利を上げる事態となりました。
(このあたりは悪いヤツらが仕組んでいるように思えるのだが)
(絶対に意図的に仕組み儲けている黒幕が存在しているに違いない)
金利上昇に耐えられないサブプライム層はローンの借り換えに動き出す者や借り換え審査の認可が下りずに支払いに困窮する債務者が出てまいりました。
その結果、弁済出来ない債務者の住宅が抵当に入り差押え物件など住宅在庫が増える事となり価格をさらに押し下げる一因となります。
債務不履行と住宅価格下落のダブルパンチを食らったサブプライムローンは資金を回収出来なくなった「リーマンブラザーズ」の倒産をキッカケに連鎖的な金融危機を迎えることになったのでした。
海外投資家と日本のマーケットの関係
このような顛末で発生したリーマンショックは日本の企業のほとんどが影響を受ける経済危機になりました。
しかしなぜアメリカで発生した金融危機が日本に影響をもたらすのか不思議に思える。
その理由は株式市場に資金を投入する外国人投資家の存在にある。
実は日本の株式マーケットを支えるのは殆どが外国人投資家と言われています。
サブプライムローン問題で混乱した金融市場で甚大な損失を被った海外投資家は日本の株式市場に投入していた資金を引き上げ始めます。
要するに保有していた株式銘柄を売却し始めたのです。
その大量の投資家の売却により日本の株式市場は大打撃を受けることになりました。
その結果12,000円ほどだった日経平均は半分くらいまで値を下げる事態となり投資家に大打撃を与えます。
(ロスカットの嵐)
(でもこの驚異的な下げ相場でぼろ儲けしているワルイ人たちが存在しています)
その大打撃は今回のテーマ「シャープ」にも襲いかかります。
シャープは県と市から135億もの大量の補助金を投入したにもかかわらずリーマンショックの金融危機に襲われ工場の増設を計ったにもかかわらず受注は冷え込み製造ラインは停止することになる。
(当時ぼくも製造業の会社印だったが本当に仕事が無くなった。)
その結果6年の短き期間で設備売却という憂き目に合い液晶工場は操業停止。
そんな顛末に三重県は怒りだし資金提供した90億円の内6億円余りの返還要求に合う。
しかしシャープよりも三重県よりもツライ現実に直面したのは45億円もの銭を出してくれた亀山市。
シャープ亀山工場の立ち上げと操業にあたり亀山市は地方自治体として財政力を備える事となりめでたく地方交付金を必要としない不交付団体となった。
(やった!シャープさんのおかげで国から自立だぞ)
しかしシャープが「コケてしまった」事で亀山市は自立財政自治体から転落し国からの地方交付金に頼る「交付団体」に逆戻りとなった。
シャープがコケた影響はモロに市民生活にも及ぶ事となり賑わいをみせた亀山駅前商店街はまさに「リアルシャッター商店街」となる。
世界を飲み込んだリーマンショックと罪深きシャープによって三重県と亀山市は「とばっちり」を受け振り回された結果だけが残りました。
そしてシャープは中国企業へ身売りし傘下になる事でどうにかこうにか「シャープ」という存在を残す事が出来ている状態。
その後の亀山工場はアップル「iPhone」ディスプレイ製造の工場として活用されるが実態としてはアップルが家賃を払って場所を借りているだけに過ぎない。
リーマンショックの影響が無ければシャープは安泰だったか?
ここまでシャープとリーマンショック発生の流れを当方の観点でまとめてきましたがもし仮に2008年の世界的金融危機が無ければシャープの液晶事業は頓挫しなかったか?
シャープに限らず他の家電メーカーも消費者にとってテレビやパソコンなど身近な家電機器から撤退するような現状です。
その背景には海外企業の製品が日本のマーケットに進出している影響があると考えます。
テクノロジーも変化し有機ELディスプレイのような新技術や海外メーカーの製品との競争に晒され勝ち残る必要があります。
モニター分野においては「ジャパンディスプレイ」など新規メーカーの台頭もあり日本国内においても競争力は高まってきており液晶事業だけに依存していたならたとえリーマンが無かったとしてもどの道キツい闘いを強いられたのではないかと思います。
その様な意味ではアホみたいなカネをかけて事業拡大し過ぎた「亀山モデル」とシャープは遅かれ早かれ失敗していたのではと思うのですがいかがでしょうか?
シャープがコケてしまった理由
強気で攻め過ぎた事が災いしその結果、債務も設備投資もデカくなり過ぎてしまったシャープ。
リーマンショックの外的要因と身動きが取れないほどに肥えてしまった企業は変化に対応出来ずに滅びてしまった「恐竜」の存在に似ているのではないかと思うのです。
恐竜達は今から約6500万年前に巨大隕石の影響で地球環境が変わり温暖な気候から急激に気温低下した環境変化に耐えられず絶滅したとされています。
(諸説ありますが今回は氷河期が到来したという事でお願いします。)
早い話しが現代に生きる企業活動にリーマンショックと言うデカイ隕石がドカーンと落ちてきて経済環境は一変し金融危機と言う氷河期に襲われました。
しかし企業活動は絶滅してしまった恐竜達と違い、氷河の時代を生き抜き復活を遂げた企業やメーカーも存在したという点が大きな違いでしょう。
「世界の亀山モデル」で天国と地獄を経験したシャープでしたが最終的には中国企業「鴻海精密工(ホンハイ)」に買収され絶滅はどうにか免れました。
シャープさんに学ぶ
今回のリーマンショックと言う巨大隕石は再度「いつ」、「どんな形で」襲ってくるか分かりません。
ですが必ず何らかの形でまたその機会はやって来るでしょう。
ここまでシャープの暗黒時代を調べてきて気持ちがデカくなり過ぎていちびり過ぎたらこうなると言う悪い例を見せつけられた気がしないでもありません。
が、シャープさんを笑ってばかりはおれません。
明日は我が身、一寸先は闇でございます。
仮に氷河期が到来したとしても対応し生き残る能力が必要とされるのは法人も個人も同じです。
いい気になって「ボケボケ」しているアナタ!そしてこの記事を用意する「ぼく!」またもや我々に襲いかかろうとする巨大隕石と氷河期に対応できるよう共に努力いたしましょう。
リーマンショックのまとめ
普通はローン審査が通らない信用度が低いお客をサブプライム層として対象にしたローン制度をサブプライムローンと位置づけた。
サブプライム層への住宅需要はさらに高まり住宅価格は高騰する流れが生まれ金融銀行が証券化し投資家へ販売した。
住宅在庫が増え過ぎ相場価格が下落。
金利上昇の煽りを受け弁済出来ない債務者が多発。
支払いの出来なくなった債務者の差押え物件が急増しさらに住宅価格を押し下げた。
弁済不能に陥ったサブプライム層により資金を回収出来なくなった大手投資銀行リーマンブラザーズ倒産によって債券は完全に焦げ付き金融危機が始まる。
以上です。
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