くびれたボディが美しい1954年デビューのフェンダーストラトキャスター。
ギターに興味を持つひとならこのストラトの名前を知らにないはずはないでしょう。
いまは亡きレオフェンダーが世に送り出したストラトキャスターの構造と特徴がサウンド面にどんな作用を果たすのか分析したいと思います。
ストラトの生みの親レオフェンダーとは?
ストラトの生みの親レオフェンダーはギター製造に関わる以前、フェンダーラジオサービスと言う会社を立ち上げラジオや音響機器の修理を行っていた。
その後、ビジネスパートナーとの決別や事業拡大によってギター楽器やギターアンプの製造に着手し数々のエレキギターをリリースしフェンダー社の基盤を作り上げた。
数々のギターモデルを生み出し、ギタリストを魅了したフェンダー社だったが1965年に創業者であるレオフェンダーは健康上の理由に会社を売却。
しばらくは技術指導として業務に参画するが結局退社している。
ちなみにフェンダー社を買収したCBS社であったがそもそもはテレビやラジオという媒体のメディア企業が多角経営の一環として楽器メーカーであるフェンダー社を投資として買い取ったに過ぎない。
ノウハウを持たない親会社の経営と楽器業界の販売低迷、さらには自社のコストダウンの方針により品質は低下し日本製の東海楽器を始めとしたコピーモデルに淘汰されファンは離れていく。
面白くないCBS社は訴訟を起こすなどするが結局は楽器部門から撤退し残されたフェンダーブランドは日本の楽器メーカーや技術者の関わりによって再興。
品質低下した本家フェンダーギターの技術面の立て直しに日本の技術者が貢献、フェンダーカスタムショップブランドの土台を築くことにも繋がっている。
その後、日本での経営状態は安定したかに見えたが出資した日本の楽器メーカーの株式売却によってフェンダージャパンは終焉(フジゲンの負債が原因)。
フェンダー社が引き続き日本法人を継続させるためにフェンダーミュージックジャパン株式会社が設立される。
現在の製造拠点はアメリカのコロナ工場とメキシコ工場、協力工場として日本のダイナ楽器などがフェンダーギターを供給している。
コンタードボディを持つストラトの魅力とは?
コンタードボディと呼ばれる体型はストラトとプレイヤーの体がフィットしやすいようにボディのエッジ部分がカットされています。
こうしたスレンダーなダイエット効果はプレイヤーとの一体感が生まれるのもストラトが選ばれる理由のひとつです。
ちなみにストラトとは対照的な存在のテレキャスターが存在し、そのボディは角張ったゴリっとした体型をしています。
多様なサウンドバリエーションを生み出すピックアップ(マイク)
コンタードボディの他にもストラトにはギタリストをワクワクさせる仕組みが搭載されています。
その仕組みのひとつがピックアップという弦の振動を電気信号に変換するパーツです。
ストラトより以前に開発されたテレキャスターではピックアップは2つの仕様ですが、ストラトキャスタ-ではポジションが3つのピックアップを搭載しているのでバリエーション豊かな音作りを行うことができます。
3つのピックアップの恩恵ハーフトーン
ピックアップが3つ搭載されることでストラトにはハーフトーンと呼ばれる機能を使うことができます。
3つあるピックアップをそれぞれ選択するとフロント・ミドル・リヤのポジションになりますが、ハーフトーンはミドルピックアップを軸にフロントあるいはリアピックアップのサウンドをミックスさせることが可能です。
ハーフトーンはピックアップセレクタースイッチが5ウェイ式のスイッチのものが搭載されメジャーな存在になりました。
5ウェイ式が開発されるまでは3ウェイ式のピックアップセレクターでしたの2か所のピックアップが機能するちょうど良いポイントを探し当ててハーフトーンサウンドで演奏していたのがジミーヘンドリックスといわれています。
二つのサウンドが混じりあう微妙なポイントを探し当てているのでテープで固定していたというエピソードが残っています。
ストラトのシンクロナイズドトレモロの構造とサウンド面での作用
ストラトキャスターにはコンターボディ、3つのピックアップとハーフトーンという特徴のほかにもシンクロナイズドトレモロという機能が搭載されています。
もしかしたらストラトのサウンドを作り出しているのはこのシンクロナイズドトレモロの構造が起因しているのではと思うほどです。
シンクロナイズドトレモロとは?
シンクロナイズドトレモロは弦を固定するブリッジにアームと呼ばれる部品を簡単に脱着できるように設計されていて演奏中にアームを操作することで音程に変化をつけることができます。
参考までに激しいアーミングプレイを記録する映像として若かりし頃のスティーブヴァイが映画に出演した際の作品があるので紹介しておきます。
0:40秒あたり
このスティーブヴァイの超絶プレイはクロスロードという記録映画に収められています。
このなかでスティーブヴァイが使ったストラトは本家のフェンダーなどではなく80年代のハードロックギタリストに人気のグローバー・ジャクソンやシャーベルなどの機材を使っていたと思われます。
これらのギターにはフェンダーのシンクロナイズドトレモロよりもチューニングが狂いにくいとされるフロイドローズというユニットが搭載されています。
この全編映像を見たい場合はこちらの作品からご覧になれます。
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シンクロナイズドトレモロの構造とサウンド面での作用
シンクロナイズドトレモロの構造はギター本体のブリッジ付近をくり抜き空洞化しています。
ポッカリと空いた空洞を塞ぐようにブリッジをボディにねじで固定し、さらに裏面からブリッジにトレモロブロックという部品を取り付けます。
[amazonjs asin=”B00I3XGAX2″ locale=”JP” title=”Fender フェンダー パーツ PURE VINTAGE STRATOCASTER TREMOLO BLOCK”]トレモロブロックにはスプリングが取り付けるように穴が加工されていて、アームの操作をボディ裏側のスプリングが受け止めるような構造になっています。
[amazonjs asin=”B0030JHXZ8″ locale=”JP” title=”RawVintage トレモロスプリング RVTS-1 / Tremolo Springs”]さてこのようなボディ裏側に実装されている構造のストラトキャスターはアームを使用しなくてもスプリングが弦振動を受け止めているというのが大きな特徴ではないかと思うのです。
シンクロナイズドトレモロは好みでセッティングを変更し、アームを使わないブリッジをボディにべた付の仕様でもスプリングは介在するワケです。
なのでジャラーンと弾いた振動はブリッジを伝わりスプリングにも及びます。
この対照的な構造がテレキャスターです。
テレキャスターには金属製のブリッジを介し、ボディ裏側に弦が裏通しされる仕組みになっていますからストラトのようにスプリングなどの部品は介在しません。
弾いてみると分かりますがタイトな響きが得られるのがテレキャスの特徴です。
一方のストラトは良くも悪くもバネ(スプリング)でブリッジと本体を繋げていますから、いわば「ぼよーん」としたサウンドの傾向を生み出しています。
このサウンド傾向がストラトの特徴になっているのではないでしょうか?
こうした傾向がギタリストによっては欠点に映ることもあるのでしょう、テレキャスは好きだけどストラトは嫌いっていうケースもあるかもしれません。
で、このようなスプリングの問題?を解消するためにアフターパーツでサウンドの改善をすることも可能になっています。
先ほど紹介したRawVintageトレモロスプリングに付け替えることでストラトのサウンドが変わったと報告されています。
興味がある方はぜひお試しください。
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