トーカイのES-68を検討するにあたってほぼ同クラスのセミアコとして【エピフォンのセミアコdot】や【アリアブリッツ】などを比較検討しました。
こちらの記事で比較しています。
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特にエピフォンの『ドット』タイプやアリアブリッツセミアコ BES-STDがお値段は手ごろで魅力的なのですがあまりにも安すぎて少々不安に感じるところがあります。
値段が安ければ当然搭載されている部品もそれなりの品質の物を選ぶことになります。
結局、いろいろと問題が見えてきて安物買いの銭失いとなるのではという懸念を持ちました。
そこで価格はほぼ倍ほどになるがハイエンドギターの「シェクター」の製造を担うとも聞いた東海楽器製造のセミアコ【ES-68】を選ぶこととしました。
ほぼ6万円ほどで購入できるTOKAI製ES-68はセミアコの入門機として評価しています。
けれど6万円の価格を考えるとそれ相応のスペックと品質だと思うところも確かにあり、評価が別れるところです。
入門機に6万円という価格でどれだけ満足できるのか?演奏に支障はないスペックなのか本文で解説します。
トーカイES-68(ES-78)の印象
トーカイES-68(ES-78)はパッと見の印象ではまさか6万円のギターとは思えない高級感を醸し出しています。
さすがにストラトなどのソリッドギターにはない箱モノギターの風格みたいな雰囲気を感じます。
僕はストラトやレスポールなどソリッドギタータイプのエレキしか持ったことがないのでセミアコタイプのギターはまさに初体験で感動です。
セミアコらしさとしてのエアー感?と言う点でいうとボディは空洞構造とF型のサウンドホールを装備しているので明らかな広がりがあるサウンドを感じることができます。
そんな構造を持つトーカイES-68は6万円台で購入できる入門機の位置付けモデルだとしてもセミアコのサウンドを楽しめるギターだと言えます。
生音も結構デカイですし、遠慮気味に弾いたアコギのような響きを味わえます。
TOKAI製ES-68を膝にのせて抱えた印象はストラトのようなソリッドギターにはない箱物ギターのどっしりした安定感がしっくりときます。
軽自動車ばかり乗っていたところに親父のクラウンでドッシリとドライブする・・・そんな感じです。
つまり高級感ですね。
ハコモノギターとしての存在感は、弾いたことないけどギブソンのセミアコのES-335のような出で立ちが高級感を味わせてくれます。
ただ付属のソフトケースはペラペラの造りの物でネック折れを保護する強度は全く想定していません。
もしトーカイES-68を自宅から持ち出してスタジオなどで演奏にしにいくならセミハードケースが必要になります。
トーカイES-68のピックアップとサウンド評価
トーカイES-68をヤフオクで手に入れたギターアンプ『ローランドブルースキューブBC-60』につないで音を出してみました。
ハムバッカータイプが載るピックアップの印象はそこそこのポテンシャルを持っている様子でブルースキューブのクランチモードで少し歪ませるようなトーンで弾いてみても十分な歪みが得られます。
個人的には大好きなフロントピックアップの音色は甘いトーンを感じさせます。
リアピックアップは明るくトレブリーなサウンドキャラクターを持っておりフロントとリアのとの音色を使い分けた弾き方ができる仕上がりでハッキリ言って悪くはない印象です。
メイプルボディから醸しだすサウンドはやや硬めの印象でよく言えば明るいサウンドと言った感じです。
フロントピックアップの印象はギター側のトーンを絞ることにより落ち着いた音色です。
ネックも薄く弾きやすいので手の小さい女性にも楽に弾ける気が致します。
トーカイES-68に実装される部品の品質評価
ただ実装される部品を確認するとやはり値段相応の品質的な問題が見えてきます。
ではトーカイES-68に搭載されるイマイチだった部品をまとめます。
難癖を付ける意図ではなくあくまで情報として受け止めていただければと思います。
▼コントロール系の部品
- ボリュームポット
回す感触が重くて何だかヌメっとしており安っぽさは否めません。
- ボリュームノブ
引っかかりがなくかなりチープな仕上がりです。
▼ネックまわりの印象
- ペグの質感と操作感
チューニングの安定性と音程変化のレスポンスが鈍くチューニングが合わせづらい印象です。
- ナットの素材と組み込み精度
ナット素材は残念ですがプラスチック素材が採用されています。
組み込み精度は若干甘く、指板との隙間がみられます。
- ローズウッドっぽい指板の印象
トーカイES-68(ES-73)にはネックの指板素材がローズウッド風な指板が採用されています。
フレットの処理は悪くなくザラザラした感触やフレットの端の部分がひっかるような処理の悪さはないと思います。
しかし、指板に採用される素材は密度が詰まってない印象です。
色味にも深みがない仕上がりです。
文句をつける表現ばかりになりトーカイさんに申し訳ないですがやっぱり質感として物足りなさはあります。
ただ、6万円台という価格を考えると部品の精度と品質は無理もないと考えることができます。
しかしギター本体の木材加工精度とボディの仕上がりはとても良いとのギター専門店の評価を得ることができました。
次章でES-68を購入した楽器店の評価を紹介しておきます。
トーカイES-68に対してのギター専門店さんの印象
ES-68の購入はネット通販ではなくメンテナンスを施した上で納品してもらえる実店舗で注文しました。
注文した楽器店さんはずっとお世話になってる京都市左京区一乗寺のギター専門店「フルアップ」さん。
注文をお願いして4日ほどで待望のセミアコ【ES-68】が納品されました。
店舗で注文後に今更確認しても仕方がないですがエピフォンのセミアコとトーカイならどっちがモノが良いのかと質問しました。
さらに楽器店さんは実物を確認し思っていたより固体がしっかりしているとの印象を持ったとのことでギター専門店ならではの意見を聞くことができて安心できました。
しかしボリュームポットや配線に使うケーブル関係の部品がイマイチと仰せです。
今回購入したES-68をどんな場面で活用したいのかによってカスタマイズを施すことでよりグレードアップした1本に仕上げることができるという見解をいただきました。
つまりピックアップの交換、配線材やボリュームポットなどをグレードアップすることでワンランク上のセミアコに変身できるということになります。
ただしそれなりの費用もかけることになるので費用対効果とES-68をどんな使い方でギターライフを送りたいのか検討のうえでのカスタマイズが必要だと思います。
そこでES-68をワンランクアップする必要性について次章で考えてみます。
ES-68をワンランクアップする必要性と選択肢
ES-68をワンランクアップする必要性を検討するうえでやはりどんな場面でES-68を活用したいのかということになってくるでしょう。
つまり自宅でES-68を弾くだけでなくライブハウスやバンド演奏で音楽活動に使いたいと考えるならカスタマイズが必要だと思います。
そう考える理由はやはり搭載されるペグの品質とナットの問題があるからです。
ペグはチューニングを左右する重要なパーツですが、評価してきたとおり残念ながらES-68に採用されるペグではチューニングの精度がイマイチです。
つまりデフォルト状態でES-68をライブ演奏に使うのはかなり無理があると感じます。
ES-68をガッツリと音楽活動に使うのなら最低でもクルーソンタイプの【ペグ】とネックの【ナット】素材をグレードアップしたパーツに交換する必要があると考えます。
もし予算に余裕があればピックアップやボリュームポットなどの電気系部品も交換したいところです。
でもそうなってくると改造に投じる資金は5万円を超えてくるのでES-68を選択する意味がなくなってくるようにも思います。
要するに音楽活動を想定するならば下位グレードの【ES-68】を購入するよりも上位機種の【TOKAI ES180SR】を選らんだ方がバンド演奏に対応するクオリティを備えていて結局は安上がりになります。
ピックアップなどの電気系統のパーツは気に入らなかったらどんどん交換できますが、指板の交換まではなかなかカンタンにできることではありません。
指板交換が可能だとしてもかなりの費用と工期もかかるのでお金をケチって【ES-68】でガッカリするよりも上位グレードの【ES180】を購入した方が賢い選択になるのは間違いありません。
ですがあくまでガッツリと音楽活動でがんばりたいというケースです。
ぼくのように家でチャリチャリとセミアコの雰囲気を楽しみたいだけなら【ES-68】で十分です。
今のところぼくはES-68で満足しています。
今後の展望としてはお小遣いをためてナットを牛骨素材にグレードアップしてペグをクルーソンに交換したいと思っています。
もっと資金的な余裕がでてきたらセイモアダンカンなどのピックアップに交換してサウンドをカスタマイズしたいなあとは思います。
こんな風に少しずつグレードアップしていくのもギターの楽しみ方だと言えますし、価格帯の安い下位グレードギターのメリットだと思います。
結論としてはES-68をライブハウスでガンガン演奏に使う予定ならES-68ではポテンシャルに欠けると考えた方が良いでしょう。
トーカイ楽器【ES-68(ES-78)】購入レビューまとめ!
6万円台のギターとして品質面にやや不安はあるもののコストパフォーマンスとしては評価できると思います。
入門モデルとしての役割を果たす1本です。
けれど本記事の評価のとおり部品のスペックに物足りなさと問題があることも確かです。
こうしたスペックを理解した上で購入しないと後悔することになります。
つまりノーマル状態のまま何のカスタマイズもせずに本格的な音楽活動には対応できないことが予想されます。
オートバイのレースと同じです。
市販車のバイクを買ってきて、サーキットを走ることはできてもライバルが優勝を争うレース走行には対応できません。
レースで戦うにはそれなりのカスタマイズが必要です。
ギターも本格的なバンド活動を行うには対応できる装備と品質を備えておくことが必要です。
選択肢としては最初から20万円台の高価なギターを選ぶか、低価格モデルで徐々にランクアップを進めて行くかどちらかになるのではないでしょうか?
そのような意味ではトーカイのES-68はバイクの楽しさを知る原付のような位置付けです。
原付バイクの楽しさをキッカケに大型バイクやロングツーリングに興味を持ち始める、そんな出会いの1本になるのではと思います。
評価を下げる内容が多かったかもしれませんが、セミアコを楽しむキッカケの1本としてトーカイのES-68は頑張ってるなあと言って良いでしょう。
今回購入したトーカイのES-68は少ない予算でセミアコを手に入れたい!を叶えてくれる貴重な1本となりました。
上達レベルや用途に応じて必要なカスタマイズを加えて行けば良いと考えています。
今回は以上です。
(2020年現在トーカイのセミアコES-68は後継機種のES-78が登場しています。)