今回はこんな欲望を満たすためにメルカリでセイモアダンカンのテレキャスターを買ってしまった僕が実機のレポートをお届けします。
さて実際に購入したセイモアダンカンブランドのテレキャスターがこちらです。
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セイモアダンカンのテレキャスターは2019年現在では新規で購入することはできないブランドのギターです。
ご存知の方も多いと思われますがセイモアダンカンのギターは90年代に入ってからは大手ギターメーカーの【ESP】さんが製造したモデルです。
今回、ESP製のエレキギターは初めて手にした1本であることから各部の仕上がりをチェックしてみました。
ではまずセイモアダンカンというブランド説明からまとめてみます。
セイモアダンカンとは?
セイモアダンカンというブランドはギター愛好家なら知らないハズは無いというくらい有名なブランドです。
エレキギターにチャレンジしたばかりの方に向けて【セイモアダンカン】とはなんぞや?という点にふれておきます。
セイモアダンカンはカスタムピックアップを提供するブランド
セイモアダンカンはエレキギターの弦振動を電気信号に変換する【ピックアップ】を製造販売するメジャーなリプレイスメントピックアップブランドです。
ではどんなときにリプレイスメントピックアップの出番があるのかを想定すると、たとえば5万円で買ってきたフェンダーテレキャスターの音が「ショボイ」サウンドで物足りないなー感じるときにこうしたリプレイメントピックアップに付け替えてカスタムします。
つまり単車のノーマルマフラーがショボくてヨシムラやモリワキの集合マフラーに付け替えるようなもんですね。
それほどピックアップはギターのキャラクターを変えてしまうポテンシャルを秘めています。
さてピックアップを提供していたセイモアダンカンのブランド名でエレキギターを世に送り出したのが今回購入したセイモアダンカンのテレキャスターモデルとなります。
ぼくが購入したのはトラディショナルシリーズと呼ばれるもので価格帯としては当時10万円ほどで売り出されていたモデルとなります。
当然ですがセイモアダンカンブランドのエレキは外注で製造されたモデルとなります。
ぼくが購入した個体は【ESP】が製造を担当しブランドロゴが筆記体であしらわれたOEM品となります。
実は今回、初めて知った情報なのですがセイモアダンカンブランドのギターはESPが担う前に【優美音響】というギター製作会社がOEMで展開していたという流れがあります。
【優美音響】が製作したセイモアダンカンギターはかなり評判が良かったとの情報も見られますが残念ながら90年代ごろ優美音響は倒産し、ESPがブランドを引き継いだという経緯です。
もちろんESPは説明の必要がないくらいギタークラフト界では有名な存在で品質については信頼おけるブランドのひとつだと考えています。
そうした日本を代表するギターメーカーが手掛けた10万円台のエレキだというところがセイモアダンカンを選ぶ根拠を持っています。
セイモアダンカンを引き継ぐエドワーズ
ESP製のセイモアダンカンブランドのエレキはもうカタログオフとなって中古市場でしか目にすることができません。
マーケットの評価としてはセイモアダンカンというブランドロゴもイマイチだし、とくにこれといった付加価値で市場へ訴求するスペックがなかったのもしれません。
委託製造を引き受けるESP側としてもブランド名の使用料をセイモアダンカン側へ納めなければならず、それほど販売本数がなければ企業としてのうま味がないとの経営判断がなされたと推測します。
その後セイモアダンカンブランドのギターは消えてしまいましたが同等モデルを引き継ぐギターとしてESP内の中堅ブランド【エドワーズ】というシリーズで存在します。
エドワーズというネーミングもいかがなものかとギターフリークとして思わなくもありません。
ですがESPの経営としては【セイモアダンカン】でギターを作るよりも自社ブランドのほうが利益は残りますから当然の判断だと思います。
さてそのエドワーズのテレキャスターはセイモアダンカンのようなトラディショナルな造りを意識したスペックではなくESP独自の改良と工夫がなされた仕上がりになっていて好みが別れるところです。
なぜフェンダーではなくセイモアダンカンなのか?
今回セイモアダンカンのテレキャスターを購入するに至った条件をまとめます。
- レイクプラシッドブルーのテレキャスターが欲しかった
- 信頼おけるギターブランドの製品を求めていた
- 3万円から5万円の予算
このような条件に合致したのがセイモアダンカンテレキャスターの出会いとなり購入となりました。
予算が5万円なら新品から選択できるギターと期待できるスペックなんてたかが知れてます。
そのような意味でテレキャスターの王道で本家ブランドの【Fender】から新品5万円のクラスのモデルを選ぶとなると結局は、見た目がテレキャスターのカタチをしているだけで後悔するのは目に見えています。
(実は20年前に5万円クラスのフェンダーテレキャスターを買って失敗している)
確かにネックのヘッドに【Fender】とブランド名が入ったビジュアルは貫禄のあるカッコ良さを感じます。
しかし5万円の価格帯でスペックを充実させることはかなり困難だと考えます。
発注元が委託先に支払う外注加工費やフェンダーブランドの使用料、店舗での卸値を考えるとギター本体にかけている原価は5万円のなかでいったいいくらなのか想像したくなります。
余談ですがフェンダーの創業者レオ・フェンダーがフェンダー社を売却した以降は組織が機能せずギターの品質も悪化し、もうフェンダーは倒産か?という事態になったタイミングで結局はコピーモデルを生産していた日本の超有名ギターメーカーの援助があり再建に繋がっています。
そんな経緯もあり、フェンダーだから素晴らしいという理由が持てないのです。
(単に自分がひねくれているだけ)
ブランド名にこだわらなければもうフェンダーやギブソンがふんぞり返っている時代ではないということです。
(しかしフェンダーとギブソンが送り出す上位機種はやはり文句なしの風格で欲しくないワケがない)
なので5万円ほどの予算でそこそこの品質とスペックを備えたエレキを求めるなら中古市場から信頼おけるギター工房が手掛けたコピーモデルを選ぶのが正解という結論です。
もし今30万円くらいのまとまった予算があるならフェンダーUSA製の上位機種のテレキャスターを検討すると思います。
さて金がないから仕方なく中古を選んだとは認めたくはない事実もありますが、今回のセイモアダンカンを選択した根拠が【レイクプラシッドブルー】のカラーリングです。
いろいろと探しまわりましたが中古市場でレイクプラシッドブルーのカラーリングを備えたテレキャスターはありそうで見つかりません。
ESP以外で信頼おけるギターブランドから【バッカス】【クルーズ】【フジゲン(FGN)】も選択肢にいれ5万円の予算でレイクプラシッドブルーのテレキャスターを探しました。
もちろん本家のフェンダーも念頭にいれてデジマートなど大手のギター検索サイトを利用しリサーチしましたが、仕入れのタイミング的な事も中古では重要でなかなか在庫がありません。
そんなところでのメルカリでセイモアダンカンとの出会いでした。
ESP製セイモアダンカンテレキャスターの仕上がりと印象
セイモアダンカンの細部を写真とともにチェックしてみたいと思います。
- フロントピックアップ
ピックガードを取り外しフロントピックアップのブランドを確認してみました。
ネジでフロントピックアップをボデイから取り外し裏面にセイモアダンカンの記載があることを期待したのですが残念ながら確認できません。
ピックアップの金属カバーを外してまでムキになることでも無いのでやめました。
セイモアダンカンのブランド名を掲げたエレキでピックアップが無名メーカーのバッタもんを搭載することは考えにくいと推測しピックアップを元の場所に取り付けピックガードを閉じました。
- リアピックアップ
リアピックアップも確認したかったのですが面倒なのでやめました。
なぜならブリッジプレートを外さなければならず、そうなるとプレートを止めているネジを緩めるために弦が乗るブリッジを取り外す必要があったからです。
ブリッジのコマを外してしまうとオクターブチューニングが必要になるので、オクターブを合わせるのが苦手なぼくは敬遠したという結論です。
申し訳ございません。
- ネック
ネックの仕上がりは丁寧な造りでローズウッド指板も高級感ある素材が使われている印象です。
ネックのシェイプはオーソドックスな【Cシェイプ】といったところです。
太すぎることもなく30年前から所有するビルローレンスのネックのような細すぎる印象はありません。
フレットのRは今風なフラットな指板ではなくややラジアスがかかっています。
とくに違和感は感じません。
- フレット
フレットの仕上がりについても綺麗な端面でまったく問題はありません。
打ち込まれるフレット素材はヴィンテージを意識した細めのフレットが採用されています。
- チューニングペグ
ヴィンテージらしいルックスのクルーソンタイプのペグが採用されています。
タッチとチューニングの操作感も違和感ありません。
ちょっとのペグ操作でもチューニングに反応してくれる精度を感じます。
余談ですが以前に購入しているトーカイのセミアコ【ES-73】に実装されるクルーソンペグはかなりフィーリングの悪さが目立ちました。
やはりギターは値段だなとしみじみ感じたトーカイのセミアコでした。
- ボディ塗装
10万円での価格帯ながらラッカー塗装での仕上がりがセイモアダンカンでの得られるメリットです。
販売者さんの商品紹介ページに塗装はラッカーですとの説明があり、正直なところ期待はしていませんでした。
けれど現物が届き確認してみると塗装の断面が確かに薄く、ボディ全面に浮かびあがるエージング的な塗装ムラがラッカー塗装を物語る雰囲気を感じます。
セイモアダンカンいいなーと思った瞬間です。
読者さまの【すみま】さまよりメッセージをいただき今回取り上げているテレキャスターの塗装はトップクリアのみラッカー塗装との情報をいただきました。
したがってブルーの着色面はポリ塗装になると判明いたしましたのでここで訂正いたします。
すみまさまありがとうございました。
- ボディ木材
ボディに採用される材質はアルダーとの情報です。
ネックの指板にローズウッドが採用されていることからも60年代のテレキャスターをイメージした結果アルダーを使っていると推測します。
以前に購入しているG&Lのテレキャスターがアッシュをボディ素材に使っていることもあり違いを楽しめます。
- コントロール部
ボリュームとトーンなどの部品と配線をチェックしてみました。
さすがに30年ほど前の配線と数回のプレートの開封による影響で一部のリード線の芯線切れが確認できますが年代を考えると仕方の無いところです。
おそらくボリュームポットなどはデフォルトの状態を維持されていると推測します。
ハンダ付けの状態も問題ありません。
ピックアップセレクターにはメイドインジャパンのラベルを確認できます。
セイモアダンカンテレキャスのサウンド評価と印象
すでに所有するエレキとの比較も含めてサウンド評価をへたれがおそれながら申し上げます。
フロントとリアピックアップは素直なサウンドで変なクセは感じません。
アンプ側でクランチ気味の軽い歪をかけても嫌味のないサウンドです。
クリーンで鳴らしても薄っぺらいペラペラとした音ではありません。
ヴィンテージっぽい造りをおそらく意識した仕上がりでピックアップもそんなキャラクターを持っているようです。
したがってそんなにパワーのあるサウンドではない印象です。
悪く言えば線の細い音で良く言えばニュアンスを出しやすいキャラクターという印象です。
所有するヴァンザントピックアップを搭載したビルローレンスのストラトとG&Lのテレキャスターとの比較評価するとパワーではいちばん弱いと思いました。
いちばんピックアップのパワーを感じるのはG&Lですね。
つぎにヴァンザントピックアップのストラト。
しかし音色的にはメロウでタッチの繊細さが活きるような弾き方ができる1本になるのではと感じています。
ラッカー塗装の恩恵か、ネックとペグの仕上がりの影響か定かではありませんがコードを弾いたときの振動がしっかりとネックを持つ手に伝わってきます。
品質と仕上がりについては満足の1本です。
セイモアダンカンテレキャスターの総合評価
へたれがおこがましくもESPさまのテレキャスターを評価してしまいました。
レイクプラシッドブルーのカラーリングは角度と照明の加減でグリーンにも見えますし、メタリックなブルーはサマになるかっこいいギターです。
内部のピックアップを装着するザグリ部分には導電塗料が施されてはないものの品質的には納得しています。
なにしろ90年代に日本で製造された貴重な1本です。
いまほどコスト削減が厳しくなく、中国などから調達する粗悪部品もそれほど普及していません。
あくまで個人的な見解ですが、同じ10万円の価格でも2019年の現在と90年代では製造工程や部品環境はまったく違うので同じ価値では測れないものが存在しているように思います。
新しく登場するエレキも魅力があるのはもちろんですが、メーカーやブランドはどんどん海外生産にシフトしています。
そんな意味で90年代に日本で製造された信頼できるギターメーカーが送り出した中古ギターを検討する価値は大いにあると感じた今回の体験です。
今回僕が購入したセイモアダンカンのような80年代や90年代ごろに日本で製作されたエレキは現行品とはまた雰囲気も仕上がりも違う貴重な1本です。
ぜひジャパンビンテージの逸品を見つけてみてはいかがでしょうか?
>>サウンドハウス
当時から所有している者です。トラディッショナルは着色がポリ塗装でトップクリアのみラッカーですよ。
すみまさま
はじめまして。
ブログ管理人のkazusanosukeと申します。
今回セイモアダンカンのテレキャスターについてコメントをお寄せいただきありがとうございます。
確認不足の記事掲載でお恥ずかしいかぎりです。
トップコートのみラッカー塗装との内容を修正追記しました。
また間違いがありましたらぜひお知らせください。
ちなみに角度によってこのレイクプラシッドブルーのカラーリングはグリーンにも見えますね。
気に入ってます。
お嫁ちゃんが不在のときしか弾いてないけど!