今から30年ほど前にオートバイ事故で自分は脊髄の7番と8番の部位にあたる胸椎損傷を負いました。
その後、病院での治療とリハビリや職業訓練などを受け社会復帰を果たし、泣きたい事も死にたくなるような思いも味わいながらやっぱり生きてて良かったと思う2018年今を生きるおじさんの日々です。
さてそんな脊髄損傷歴も30年を重ねる僕の症状と脊髄損傷ゆえに起こり得るアクシンデント(事故)の数々を紹介いたします。
この情報がどんな有益さを持つのか判断できませんが、同じような境遇で障害を持つことになってしまった方や関係者さまにお役立てできればうれしく思います。
ではアクシンデントのご紹介の前に脊髄損傷とは?という点に触れたいと思います。
脊髄損傷とは?
脊髄は頚椎(首の骨ね)から順番にうえから順番に1番2番と数えていきます。
背骨のひとつひとつはブロックのような形状をしていてつらなっています。
イメージでいうと浜名湖の特産品で有名なうなぎの骨みたいな感じですかね?
余談ですが最近浜松に立ち寄る機会がありまして、お土産に「うなぎボーン」といううなぎの骨をフライにしたオヤツを買いました。
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(うなぎが食べられなくなっても責任は持ちません。)
(うなぎとうなぎボーンに脊髄損傷との関係はありません。)
そして自分の場合は胸椎にあたる7、8番目の骨どうしが転倒したときの強い衝撃によって圧迫しあいグチャッとつぶしあうように骨折しました。
このような状態を圧迫骨折とお医者さんから説明をうけました。
だから自分の骨折した部位は通常の背骨のような形状はしていません。
骨どうしがつぶれて粉々になっているからです。
レントゲンの映像もその箇所はひとつの塊りのよになっています。
自分で文章を書いていて気分が悪くなってきました。
お読みになっていてご気分が悪くなるようでしたら止めてくださいね。
ちなみにこのような状態を幻視痛(ファントムペイン)と呼ぶらしいです。
半身不随とマヒ
半身不随とマヒについて確認して見ます。
不随ということは感覚も無く、機能しないことです。
同じような言葉に麻痺(マヒ)という表現があります。
不随という意味を調べてみると・・・
“体が思うように動かないこと”ーとありました。
一方の麻痺という意味はー”神経の障害によって運動機能や知覚機能が働かなること”ーとあります。
このことを僕が負った脊髄損傷の状況にあてはめてみると、背骨の骨折と同時に脊髄を通る神経も損傷することで、運動機能を失い体が思うように動かすことの出来ない、いわゆる”半身不随”の状態ということになります。
そして神経を損傷したことで不随および、皮膚の感覚という”知覚機能”も失い”麻痺”があるという説明になります(間違っていたらごめんなさい)。
ぼくの麻痺の程度は皮膚の感覚で言うと、だいたい乳首のあるところまででその下あたりから感覚はありません。
当然、足の太ももの部分や皮膚をつねっても痛くないのです。
胸や背中の上のほうならこんこんと叩く衝撃が伝わのであくまで「衝撃として」感じることはできますが、皮膚じたいに感覚はないので痛みを感じることができません。
この感覚がないという状態をわかってもらうことが難しく説明してもなかなか理解が得られず苦労することがしばしばあります。
じゃあ一度なってみれば良いと思うのですが、人の不幸を願うわけには参りませんので心の中で毒を留めるのに必死です。
さてこの感覚がないことがどんな不具合を招くかということを僕のトラブル事例としてご紹介します。
脊髄損傷のトラブル(事故)事例と対策!
では脊髄損傷として30年過ごしてきた中での僕のアクシデントをご紹介します。
- 足の爪(ツメ)が剥がれる!
家の中で車椅子に乗っているので廊下や曲がり角で足のつま先を柱などの角でぶつけてしまう事がたびたびあります。
お風呂に入るときや靴下をみると足の爪先付近から血が出ているのが分かります。
おや?何だろう?靴下を脱いで確認して見ると爪がベロンと剥がれています。
普通なら激痛ですね。
でも感覚が無いので、痛みを感じることはありません。
でも、キズ口からばい菌も入って化膿することだってありますから、痛くないから平気とは言ってられません。
というワケで何らかの対策は必要です。
家の中で履くための靴も用意しましたが、足を圧迫するのであまり良い方法ではありません。
そこでふんわりした素材で出来ていて、シンプルなスリッパのように脱げやすくない形状おしたモコモコスリッパなどを履いておくことで対応しています。
- お風呂でやけど
お風呂で足のふくらはぎあたりに火傷を負った経験があります。
湯船に浸かると給湯器で温められたお湯が出てくる箇所があります。
その箇所に足のふくらはぎがあり熱湯に近いお湯に晒されていたのです。
それ以来湯船に入る時はお湯の吹き出し口に足を当てないように気をつけるようになりました。
さらに片方の手でお尻を保護しながらもう片方の手でお湯の吹き出し口からでる熱湯が直接皮膚にあたらないようにかき混ぜなければなりません。
温泉宿や日帰り温泉の浴場を利用する時も注意が必要です。
温泉施設の場合は湯船の床からお湯が吹き出して入りケースもあるからです。
なのでうっかり見落としているとお尻の真下から熱湯が吹き出していることもあり確認が欠かせません。
- お風呂で足首の踝(くるぶし)をケガ|
旅行先のホテルでバリアフリー対応ではない部屋に泊まりお風呂で足をケガしてしまいました。
旅行先で車椅子の人間が過ごしやすいホテルを探し出すのはいつも苦労するテーマでアタマの痛い問題です。
車椅子で気軽に宿泊できる施設はまだまだ少ないのが現状ですから、バリアフリー対応のないホテルで脊髄損傷の人間が湯船に浸かるのはひと苦労です。
この時は浴槽の縁(フチ)から足が落っこちてしまい、足首の外側に骨が出っ張っているくるぶしの部分をタイル貼りの床に打ち付け皮膚が破れるケガを負いました。
ケガ自体はそれほど大したものではありません。
しかしくるぶし(踝)という場所が悪かった。
場所の悪さに加えて足が浮腫みやすい一日中車椅子で座りっぱなしの足首のキズ口はなかなか塞がってくれません。
そうこうしている内にケガ自体を負った日から半年以上経ったある日、足首から太ももまでパンパンに腫れて真っ赤になりました。
もちろん高熱で朦朧とする状態です。
そうなのです。菌が入ってしまったのです。
で、フラフラの状態で総合病院で数時間待って診察してもらったところ即入院となり抗生物質と点滴投与になりました。
足首の浮腫みを抑えなければ傷口が塞がらないのでたかだか擦り傷の治療のためにずっと安静状態です。
ちなみにこの時にはすでに傷口は広がり褥瘡になっていました。
ですから、脊髄損傷や頸損の人間にとってたとえ擦り傷と言え、放置したり治癒が長引くとこのような事態にもなりますから十分注意して下さいね。
- 気づいたらフライパンで太ももを大やけど!
いまこの記事お読みの読者さんは自分でお料理は作ったりしますか?
ぼくもね一人暮らし時代はパスタとか作ってました。
でもねフライパンで太ももを大やけどしたんです。
何でって?
自分でフライパンを自分の太ももの上に置いたからです。
しかもちゅんちゅんのアツアツの出来たばかりのパスタが乗ったフライパンを。
普通は熱いどころか絶叫ですよね?
でも感覚が無いから、ガスコンロから降ろしたばかりのフライパンが太ももの上に乗ってもしばらく気づきませんでした。
で、なんか横っ腹が変な感じで突っ張るなあと思ったときに太ももの上にお皿を乗せていたつもりが実はフライパンだったのです。
ではなぜフライパンを置いたのか?というといつもの癖でついつい膝の上に物を置いてしまうのが原因でした。
車椅子の人間は車輪を両手で漕いで移動しますよね?
だから両手で物を持ったまま移動が出来ません。
なので物を少し離れた場所まで運ぶときは膝の上に(太もも)置いて移動して運搬しますから、この行為がクセになってしまいます。
だからこのときも出来上がったパスタをお皿に盛りつけるために膝の上にお皿を置いて準備していたつもりが実はフライパンを膝に置いてしまったという超恐ろしいアクシンデントでした。
ついつい膝の上に何かを置いてしまうそこのアナタ!.お料理のときはフライパンを持つ手にくれぐれも注意して下さいね!
- 車椅子で転倒したら股関節骨折
いま元気に文章をしたためているぼくの右股関節は折れたままです。
車椅子を必死のスピードで走らせていて歩道の段差に前輪のキャスターが引っかかり横倒しになりながら転倒しました。
転倒した翌日に近所の総合病院を受診し1日だけ入院しましたが治療することもなく翌日には退院していました。
ここの病院では手術できないと言われ他の病院へセカンドオピニオンを求めました。
異なる医療機関と医師から同じ見解と診察結果がでれば治療難しいという結果を出せるのではと思いました。
結果はやはり入院した病院でに診察結果とおなじです。
というワケで現在も右股関節が折れたままの人生を生きています。
【関連記事】脊損なのに股関節骨折〜7年後の経過と生活事情!注意したい車いすの転倒と対応策
まとめ!30年以上の脊髄損傷生活の経験からのアドバイス
小さいアクシンデントやケガなどを入れると沢山の事例が有りますが今回取り上げたベスト5 が最強でダメージがいちばん大きいものだと思います。
障害を持つものにとって健常者以上にアクシンデントや突然の出来事に出くわします。
カスリ傷程度で済めば良いですが、ぼくのようにカスリ傷であっても入院にまで発展するケースは十分に起こり得るものです。
こうしたリスクを想定してぼくは念のためケガの補償を受けることができる保険に加入しています。
保険の補償内容は日常生活面で発生したケガに関係する通院や入院の費用を補償してくれます。
実際に股関節を骨折した時の補償を受けることが出来ましたのでやはり加入しておいて良かったと思います。
それ以外にも、コーヒーやお茶を淹れようとしてお湯を足にこぼしてヤケドしてしまった!なんてことはしょっちゅうです。
オッチョコチョイのぼくが悪いのですが、健常者の人よりもケガやアクシンデントがつきまとう環境であることは間違いありませんのでやはり加入は必要だと考えています。
幸いにもケガの保険などは生命保険に比べて脊髄損傷の障害者は加入しやすいものです。
実際にかんぽの生命保険は脊髄損傷の場合だと契約させてもらえません。
なのでせめてケガの補償だけでもキッチリ対応しておきたいと思っています。
大怪我を負ってからでは遅いですからね早めの加入をオススメします。
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