以前にトーカイとアリアブリッツ、エピフォンのセミアコの3本を比較した記事を書きました。
その結果、記事の中で比較検討した価格的にも一番高価で6万円を切る価格で購入できるトーカイのES-68選択し購入しました。
このモデルは価格が変更した影響でしょうか?現在ES-73という型式になって販売されています。
で、購入後に同価格帯のセミアコでアイバニーズとバーニーにもセミアコが存在している事を発見し6万円台から選ぶセミアコとして3本のギターをスペックの違いなど含めて買うならドレ?と言う視点でまとめてみました。
(トーカイのES-68を決して気に入ってない訳ではない)
(トーカイを買って後悔はしていない)
トーカイのセミアコES-68について
セミアコの総本山であるギブソンのES-335。
そりゃセミアコ買うならもちろんオリジナルブランドのギブソンを選びたい。
しかしいざ買うとなるとほぼほぼ30万越えになるし、よほどの決意がないと買えない。
そう言う意味ではセミアコに興味はあるけど335は高くて買えない問題をこのトーカイES-68が解決してくれました。
馴染みのないネット販売店で買うのはやはり怖いので今までお世話になってきた京都市左京区のギター専門店「フルアップ」さんで注文しました。
6万円台というグレードのギターのせいなのかギターブランドの姿勢なのでしょうか楽器屋さんに届いた状態のセミアコくんはやはりネック調整が必要な状態だったと店主さまから聞きました。
そんなものなの?と質問すると「そんなもの」というお返事でした。
おそらく日本製ギターブランドではあるトーカイセミアコくんですが、生産は海外の工場で作られているものと思われます。
海外の生産工場でなぜ調整しておかないのかと思いますが、海外から日本への気候変化と輸送途中の環境にギターが対応できるようにタイトな状態ではなく緩めのセッティングにしてあるのかも知れません。
(あくまで素人の見解です)
日本の工場で再度調整しないのかとも思いますが海外からそれなりのダンボールに梱包されたギターをまた日本の工場で梱包を解いて再調整しギター店や問屋に発送するのは価格と経費を鑑みるとムリがあるように思います。
従ってここらへんの価格帯のギターは楽器屋さんの調整ありきで認識しているのでしょう。
(ギター屋さんもメーカーも)
トーカイのホームページにはESシリーズとしてこの68や73はラインアップされていませんので国内生産モデルではない事は確かですがボディーのfホールから見えるラベルからよく見ると浜松ジャパンと表記があります。
じゃあ国内製造のギターなのかとにわかにザワつきますがこの表記の意味はおそらくトーカイの発祥地が「日本の浜松じゃん!」と言ってるだけなのでしょう。
(ほうだら?)
ですが問題は海外か国内かの事ではなく使えるギターかという点です。
トーカイセミアコくんが我が家に来てから大きなトラブルもなく(当たり前と言えば当たり前)楽器屋さんに調整して頂いたデフォルト状態で問題なく演奏できます。
ちゃんと調整してから引き渡してくれるギター屋さんで購入して良かった!
ピックアップも純正品のまま使っていますが、クリーントーンやクランチ、歪みを効かせたディストーションサウンドまでしっかり対応できるピックアップだと言えます。
やや物足りなさを言うとトーンを絞った状態がかなりブサイクな篭りきった音になるのでボリュームポットは変更した方が良いと感じました。
ですがセミアコはテレキャスやストラト、レスポールと比べて簡単に交換できない構造(とても自分でやってみようと思わない)なのでポットを交換となるとギター屋さんに丸投げになりそうです。
そうなったらどうせ工賃を払うのならボリュームポットと一緒にピックアップ交換も一緒にやった方が工賃を節約できるしなーとよくわからない欲にハマリ込みます。
(ピックアップを交換するならダンカンが良い)
ちなみにFホールの断面にはボディーと同色のバインディングが施されているので高級感がある仕上がりです。
意地悪な見方をすれば何枚合わせかの合板素材を隠すためという見方もありますがそんなのを気にするのならこのギターを選択肢に入れることはせず本家のギブソンのES335を買いなさいとなるでせう。
この6万円台でセミアコを体現できることに感謝いたします。(ほうだら?)
トーカイセミアコくんと本家ギブソンのヒストリックコレクションのレスポールとのパーツ比較
じつは当方、ナマイキですがギブソンヒスコレのレスポールP90ピックアップを搭載した1959年再現モデルを所有しています。
そこで同じ土俵では比較出来ませんがパーツや仕上げ具合を比べてみました。
ネック素材
トーカイセミアコくん:メイプルスカーフジョイントの2ピースネック。
ヒスコレレスポールくん:マホガニーワンピースネック
ペグ
トーカイセミアコくん:知らなけらば物足りなさは感じない、でも知ってしまうと物足りない。
ヒスコレレスポールくん:王道のクルーソンタイプのペグはやはりレスポールに似合う。
ブリッジとテイルピース
トーカイセミアコくん:クロームメッキで全く問題なし。
ヒスコレレスポールくん:エイジング処理された王者の風格。
指板とフレットの太さ
トーカイセミアコくん:ローズウッド指板ではありますが、知らなければ違和感はない。フレットはやや細い。
ヒスコレレスポールくん:キメの細かいローズウッド指板は高級感を感じる、フレットはギブソンタイプの太いフレットです。
ボリュームノブ
トーカイセミアコくん:めちゃくちゃ安っぽい仕上がり。
ヒスコレレスポールくん:ノブだけでここまで雰囲気を醸し出すのはレスポールだけ。
ストラップピンの取付
トーカイセミアコくん:唯一トーカイさん負けてないポイント、ピンとボディの間にゴム製のスペーサーをかましている心遣い細やかでがニクい。さすが日本メーカー。
ヒスコレレスポールくん:ストラップが外れないように歯止めをかける外側部分が丸い形状なので、うっかりするとストラップが外れそうな危うい形で心もとなく感じます。ピンが外れないようにゴム製のストッパーを活用することをおすすめします。
さすがヒスコレレスポールくんの存在感には叶わないですがトーカイセミアコくんはギブソンES-335を彷彿させるカラーリングと相まってなかなかの雰囲気を持っているのでいわゆる「安っぽいチャチさ」は不思議と感じません。
以上トーカイセミアコくんの情報でした。
フェルナンデス/バーニーSRSA65の詳細
フェルナンデスはギブソン系のギターモデルをバーニーブランドとしてカテゴライズしています。そしてフェンダー系のギターなどをフェルナンデスブランドとして位置付けしています。
今回のバーニーセミアコくんはやはりギブソンES335を意識したつくりになっています。
こちらのセミアコくんは島村楽器限定モデルとして製造されたモデルですが、ネックスペックが前述のトーカイセミアコくんと違いマホガニーを使っています。
この点ではトーカイのセミアコくんよりもギブソンのES335にグッと近づけた印象です。
fホールの木材断面については塗装バインディングの処理は無いので重ね合わせた合板状態が確認できると購入者さまのレビューがあります。
ですがこの価格帯のギターでそのような問題を指摘するのは些か酷と言うもの。
総合的には状態は悪くない品質で低予算で楽しめるセミアコくんとしては悪くないギターであるとの印象をレビューから引き出すことが出来ます。
その他のスペックとしては前述のトーカイセミアコくんとほぼ同じと言って良いでしょう。
ギターサウンドをほぼ決定してしまうピックアップメーカーとキャラクターでトーカイセミアコくんとの違いが出ると思われます。
フェルナンデス及びバーニーブランドの製造請負
フェルナンデス自体には楽器製造の自社工場は所有しないギター販売ブランド。
従って何処の楽器製造にギター製造を発注しているのか気になります。
ウィキにはトーカイやヘッドウェイとバッカスギターを製造し、かのモモセギターを世に放つディバイザーさん、そしてカワイ楽器が製造してきたとあるがもう少し情報が欲しいところです。
現状ではハッキリしたことは確認できませんが国内の楽器製造会社は限定されるので東海楽器やダイナ楽器、フジゲンあるいは寺田楽器など他にもまだまだ存在すると思われる楽器製造会社の何処かが受注しているのでしょう。(当たり前ですよね)
そして6万円台という安価版のギターは韓国や中国あるいはインドネシア等での海外生産拠点を持つどこかの楽器製造会社が請け負うものと考えられます。
「時間と手間がかかる」ある意味木工製品のギターは人件費が高くなってきている現在の日本では採算が難しく製造できるモデルが限定されるのも仕方が無いのかもしれません。
6万円台のエレキギターとしては低価格の部類ですがいざお財布から出すとなれば、大金には違いありません。
決してラクで楽しくはない労働環境に耐え、やっとこさ頂いたお給料の中から大枚叩いて購入するのであればユーザー側としては何処のどんな会社が作ったギターであるかは知っておきたいと思うのが心情。
(そりゃ思い入れを持って当然でしょう)
しかし昨今の複雑なワールドワイドな経済情勢とマーケットの事情では「誰が作ったものか?」「何処の会社が作った物か?」そんなシンプルな事さえ情報を与えられず低価格モデルだから仕方がないと片付けられ、作り手が見えない商品を買わされる世の中になにやら味気ない気持ちと不気味さを感じます。
(たかだかギターですが)
(フェルナンデスさんを批判している訳ではありません)
まあただのボヤキになってしまいましたがバーニーセミアコくんについてはこんなところです。(ほとんどセミアコの情報が無くてすみません)
ギターメーカーアイバニーズについて
アイバニーズはセミアコやフルアコといった箱物ギターを活用するジャス系のプレイヤーに愛用され定評のあるギターブランドでもあります。
その傾向が見えるものにアイバニーズのホームページ上では箱物ギターをエンドース契約するジャズ系のミュージシャンが多く紹介されてます。
(知らないおじさんがいっぱい)
もちろんロック系ギタリストもアイバニーズ愛好者ギタリストはいらっしゃいます。
かのミスタービッグのギタリストで全く持ってファッションセンスを感じさせないポールギルバートさん。
あるいは初めてお顔を拝見した時は前世は爬虫類か?昆虫か?とも思ったスティーブヴァイさん。
(お二人のファンの方がお読みでしたら申し訳ございません)
このようなジャズやハード系ロックミュージシャンなどのプロユースでの評判が高まりアイバニーズの品質と人気は着実なものになった印象です。
しかしミュージシャンに指示されるギターメーカーとしての評判だけで無く(単にビジネスがうまいだけではない)ギター製造会社としては創業100年を達成している立派な会社であります。
アイバニーズの始まりを会社ホームページで拝見したのですが歴史は古く、創業は星野楽器として明治41年にまでさかのぼります。
星野楽器はすでに存在していた書店会社の中の楽器部署としてオルガンの発注を受けたことからスタートしています。
そして昭和10年に弦楽器としての製造を開始し、昭和30年代初めごろのビートルズやロカビリーミュージックなどの台頭とエレキブームと輸出政策などの追い風を受けいよいよ昭和37年にエレキギターとアンプを製造する生産組織を多満製作所(現星野楽器製造株式会社)としてスタートさせます。
その後、会社組織は事業を順調に進め、営業所や事業所などを日本はもとよりアメリカをはじめヨーロッパへも進出します。生産拠点を中国に建設するなど事業拡大と投資を行い現代のアイバニーズに発展します。
言葉でまとめるとこんな数行程度の文章でアイバニーズ関係者様には本当に申し訳ない気持ちですが、ここまで会社を継続させてきたそのご苦労は大変なものであったと思います。
この記事以外にもフェンダージャパンさん及びフジゲンさん、G&Lさん、ダイナ楽器さんなどちょいちょいギター製造に携わっておられる企業様、ブランドさまを取り上げさせていただきましたが、ここまで経緯と歴史がハッキリしていて調べやすく企業さまとしてシッカリしているなという印象を持ちました。
(私の勉強不足で他のギターメーカー様、企業さまを知らないだけなら申し訳ございません。どうぞコメント欄からお叱りください)
そしてアイバニーズさんのギターは商品開発から製造販売までを手掛け何処の誰が造っているという点では明確です。
ユーザーに商品を提供する企業さまの姿勢として一貫した自社工場でのモノ造りは我々消費者に安心感をもたらしてくれます。
自社工場を持つギターメーカーのメリットとデメリット
製造拠点を持たずに委託製造によりギターを提供する企業。
いっぽうで自社で製造拠点を持ちモノ造りを行う企業。
どちらが良いか悪いかはさておき製造拠点を持つギターメーカーの利点とデメリットをユーザー側の視点で考えてみたいと思います。
構造変更や改良を迅速に対応できる。
自社工場であれば製造委託する企業に比べ製品改良のフットワークは軽く問題が発生すればタイムリーに動くことが出来ます。
自社工場ならFホールの断面バインディングなんて工程に組み込もうと思えばスグに変更できるでしょう。(じっさいにこんなに簡単か定かではないが)
しかし製造委託のシステムなら委託先の企業さまに工程変更や工賃に関わる影響などが発生するのでスグには現場に反映されません。
(自社工場企業でも同じ手順を踏むがレスポンスは早いハズ)
(たぶん現場で働く人達は工程が増やされる度にブツブツ文句を言ってるハズ)
(自分もオムロンの協力工場で働いていたから良く分かる)
このような意味では良い品物を追求する製造企業の進化スピードとしては明らかな差が生まれるように思います。
独自色を出しやすい
自社で設計し開発したギターをスグさまに自身の製造拠点で商品化できる環境です。
アイデアが浮かべばスグにカタチに出来る環境は大きな財産です。
さらに一貫したギター造りの意識とノウハウはデザインの方向性も定まりオリジナルギターブランドとして独自色を追求することにつながります。
いっぽう製造拠点を持たない場合はアイデアがあっても取引先工場にお伺いを立てなければなりません。
お伺いを立てる行為としては自社工場を持つ企業であっても部署間の確認行為が同じように発生しますが取引先同士のやり取りよりも部署間のコミュニケーションになるので圧倒的に障壁は低く自由度とレスポンスは自ずと断然高くなります。
自社工場ですので現場の意見が品質管理部門へ届きやすくギター造りに反映されます。
生産に携わる職人さんも自社ブランドのギター造りに責任とやり甲斐を持って業務に取り組む事ができる。
(手がけたギターは作品として後世に残り伝わっていく)
(スティーブヴァイはオレが育ててやったようなものだ)
いっぽう製造委託であれば委託先の工場は言われた通りに作ってるだけです。(すべての委託先企業さまがこんな姿勢では決してありません)
極めてビジネスライクな関係性なら現場の意見やアイデアがギター造りにピックアップされる機会はどうしても減ってしまいます。
メリットのまとめ
アイバニーズのギターは自社で責任持って製造していると堂々と言える。
構造変更や改善改良のレスポンスが速い。
ギターを購入するユーザーは作り手が見えるギターにより愛着を持つことができる。
デメリット
設備投資の負債が経営を圧迫する懸念がある。
(あくまで企業側の懸念)
世界経済がひっくり返ったときモロに打撃を受ける。
(ギターファンはこの時こそギターを更に買い増して企業を支えましょう)
アイバニーズのセミアコくんAS73-TCDのスペック
アイバニーズセミアコくんの印象についてはトラディショナルなギブソンES335を完全丸パクリせずヘッド形状などはしっかりと独自性を出したオリジナリティなアプローチが見えるギターである印象です。
ここら辺りは判断が分かれるところですが丸パクリに甘んじないアイバニーズのギター造りの姿勢に好感を抱きます。
ボディーラインはES335をイメージさせつつもカッタウェイの形状はアイバニーズデザインが盛り込まれています。
ボディーに搭載されるパーツ「クイックチェンジⅢテイルピース」
明らかにギブソンと違うデザインのテイルピースが装着されています。
このテイルピースの特徴は従来のようにテイルピースの挿入穴に弦を通過させることなく斜め方向に溝加工されたスリットから簡単に弦を張り替えることが出来ます。
ネックに使用される木材とボディーについて
ネックにはギブソンと同じ材料のマホガニーが使用されています。指板の材料はローズウッドになっています。
前述のトーカイセミアコくんやバーニーセミアコくんには知りえなかったスペック情報でアイバニーズセミアコくんでは提供されている情報があります。
それはボディーの厚みです。
最大胴厚みの寸法が67ミリとイケベ楽器の紹介ページで確認できます。
さらにこの寸法はこの機種より上位モデルのアイバニーズAS93と同じボディー厚であることが分かりました。
アイバニーズの公式サイトにAS93が掲載されておりボディー寸法を確認するとインチ表記で2 5/8″という寸法でありました。
これをセンチに換算すると67ミリ(厳密には6.67cm)となります。
上位機種と同じボディーサイズというのは嬉しいですね。
アイバニーズセミアコくんのまとめ
アイバニーズのオリジナリティを意識したセミアコに仕上がっている。
従来のテイルピースではなく創意工夫が見られる進化したテイルピースで退屈な弦交換が魅力ある作業になる(かも?)
上位機種のセミアコと同じボディーの厚みで製造されている。
3つのブランドのセミアコを比較してみて
それぞれのブランドのオリジナリティと強みを活かしながら、本家のギブソンES335を意識した低価格のセミアコを実現しているのではないでしょうか。
スペックなどは若干の違いがあるものの横並びのような気はいたします。
ただネック材などはバーニーとアイバニーズは本家と同じマホガニーを使用しているので、より335っぽいサウンドを求めるならこちらの2本に選択肢が向くように思います。
トーカイのセミアコではメイプルではありますが、ヘッドに描かれるちょっと古臭さを意識したトーカイロゴがイナタイボディーにマッチしていると感じます。
ここまでの情報でしたがこれからのあなた様の素敵なギターライフの一助になればそれがしは恐悦至極に存じます。
よきご判断と出会いをお祈りしています。
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