本件は排泄障害を持つ脊髄損傷者の留置カテーテル(ナイトバルーン)の利用で経験した出血トラブルについて原因と対策をまとめます。
留置カテーテルとは何?と疑問をお持ちの方は検索キーワードの結果をご覧ください。
さて今回の出血トラブルの原因はバルーン拡張による尿道損傷と思われます。
対策としての結論と対処方法を定期受診する泌尿器科の担当医師による見解を参考に記録しておきます。
記事の見解はあくまで排泄障害を持つ脊髄損傷者の体験談としてお読みください。
ではナイトバルーンの利用で出血を経験した状況と原因から説明していきます。
ナイトバルーンの利用で出血した原因
就寝時の尿モレを防ぐためにナイトバルーン(留置カテーテル)を利用しています。
カテーテルを入れた翌朝に出血を確認しました。
出血したそもそもの原因はカテーテルが膀胱に届ききらない状態でバルーンを膨らませしまったことです。
つまりバルーンが膨らんだ場所は尿道だったことがそもそもの原因です。
ぼくは脊髄損傷の完全麻痺の状態なので感覚がなく尿道内でバルーンを拡張させても痛みを感じません。
仮に感覚を持つ方に同様の行為を行うとおそらく激痛が走るでしょう。
今回の体験は当事者自身でのミスでしたが同じトラブルは医療現場でも発生する事案のようです。
▼医療現場での事故報告事例
https://www.med-safe.jp/pdf/report_2016_3_R002.pdf
▼膀胱留置カテーテルマニュアル
http://www.rehab.go.jp/application/files/4515/2039/6434/07_11_01_PDF741KB.pdf
今回のトラブルと同様に実際の現場での事例も直接的な発生原因は尿排出を確認せずバルーンを拡張させたことがまず一番の要因と推測します。
要因②カテーテルが入りにくいことが背景にあった
ただやみくもにバルーンを膨らませたワケではなくカテーテルが入りにくいことが背景にありました。
普段なら尿排出を確認したうえでバルーンを拡張します。
しかしこの時はどんなにがんばってカテーテルを入れようとしても尿排出が確認できるところまで入らなかったのです。
仮に膀胱におしっこが全く溜まってなければ尿排出も確認できなとハズと考えてバルーンを拡張した結果が翌朝の出血となりました。
バルーン拡張した直後に尿排出を確認できなかったことがやはり不安だったのでスグにバルーンを収縮させカテーテルを入れ直しました。
この段階では異常の様子は見られず出血を確認したのは翌朝です。
つぎに出血を確認した以降の状況を述べておきます。
- 出血を発見した以降の状況
朝にカテーテルを外したあとは出血の様子はなかったです。
導尿するためにカテーテルを使うことに不安はありましたが問題はなかったです。
さて次の心配は尿路感染による発熱でしたが体調に変化はなく当日に出血は収まり安心しました。
さて問題は出血が継続する場合です。
この不安について翌月の泌尿器科受診で医師に見解を求めました。
泌尿器科担当医師に処置の見解を求める
泌尿器科担当医に見解を求めた内容は下記の項目です。
- 出血が続く場合
- カテーテルが入りにく場合の対処法
では担当医の見解をさらっと説明します。
- 出血が続く場合
仮に出血が続く場合はカテーテルを入れっぱなしにするとのことでした。
処置の狙いと効果は尿道が損傷した部位をカテーテルの圧迫で出血を止めると推測します。
- カテーテルが入りにく場合の対処法
カテーテルが入りにくい場合の対処法としては夜間に起きての導尿を提案されました。
つまり入りにくい時にナイトバルーンは避けた方が良いとの結果です。
無難な回答かもしれませんがそもそもの問題解決ではありません。
なぜならナイトバルーンの必要があるから利用しているワケですから。
そこでカテーテルが入りにくい問題の対策をいくつか検討してみました。
カテーテルが入りにくい問題の対策検討
カテーテルが入りにくい問題にはいくつかの要因があると考えました。
そこでまずはこの要因を整理しておきます。
- 日中の導尿回数の問題
- カテーテルの太さ
- バルーン拡張部分の劣化による入りにくさ
- そもそも潤滑剤を使ってない
ではそれぞれの要因を検討していきます。
- 日中の導尿回数の問題
あくまで個人的な印象ですが日中の導尿回数が多いとカテーテルが入りにくい感覚があります。
導尿の回数が増えていくに従って入りにくさを感じます。
現在使用中のコロプラスト社製【スピーディーカテNavi】を潤滑剤入りということと素材がやや硬く先端が細い形状が寄与しそれほど入りにくさは感じないです。
けれどスピーディーカテNaviに切り替える以前に使った【セルフカテ】やテルモ社製使い捨て【サフィードネラトンカテーテル】は夕刻ごろになるとかなり入りにくさを感じてました。
おそらくこの現象は導尿の回数が増えていくごとに尿道がカテーテルの摩擦により徐々に腫れが発生しカテーテルの通り道に抵抗が生まれているのではと推測してます。
この状態になるとどれだけキシロカインゼリーをカテーテルに塗りたくっても入りにくさは解消されなかったです。
従って導尿回数による尿道の負担が影響していると思われます。
- 留置カテーテルの太さ
留置カテーテルの太さも入り易さに影響すると考えます。
カテーテルが太い場合だと尿道への抵抗が生まれやや細い方が入り易さを感じます。
しかし入りにくい状態にあったときこの太さがカテーテルの掴みやすさにつながり意外と快適だったりします。
結局太い方か細い方か?どっちやねん?!という非常に悩ましい問題です。
- バルーン拡張部分の劣化による入りにくさ
ナイトバルーンはある程度繰り返し利用が多いと思われます。
なのでナイトバルーンを数日から数週間の期間に着けたり外したりを繰り返すのでバルーン部分が収縮しきらないので先端部分がびろびろしてきます。
このびろびろが尿道への抵抗を生む原因となります。
- そもそも潤滑剤を使ってない
キシロカインゼリーなどを使わずにゴリゴリ入れていく行為はまずあり得ないかと思います。
しいて言及するなら量が足りなどのケースです。
バルーン拡張による出血トラブルへの取り得る対策
記事のしめくくりとしてバルーン拡張による出血トラブルとカテーテルが入りにくいへの対策をまとめます。
- 尿排出を必ず確認しバルーンを拡張
- 可能な範囲で日中の導尿回数を減らす
- ナイトバルーンの交換時期を早める
- 状況によってナイトバルーンの太さを使い分ける
ここまでの対策検討の結果、このような対応が取れると考えました。
まず絶対に注意すべき対処は①の尿排出を確認することが大前提です。
そのうえで入りにくい場合にどうすべきか?は完全に問題を解消する方法ではないので状況次第の対応となります。
担当医師が見解を示したようにナイトバルーンの利用は控えて夜中に導尿する方法も検討できます。
おもらしに備えて紙おむつや防水シートで対処も可能です。
他の対処方法に接着剤なしのコンドーム型集尿器の活用も考えられますがあいにく女性の場合は対応できません。
きわめて原始的ですが寝る前の水分を控えるという対処もございます。
けれど言いたいことも言えない世の中でついついお酒に逃げ場を求めた結果が夜中におしっこがじょーろじょろという現状です。
個人的にはナイトバルーンの交換時期を早めて太さ違いを日によって使い分ける対策が妥当なところです。
では今回は以上です。
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