この記事では1986年にオートバイ事故で脊髄損傷の障害を持った当事者の体験をもとに2021年現在の後遺障害について現在の身体状況を述べておきます。
同じように脊髄損傷の障害を持つことになった方へ対応方法のサンプルとして参考にしていただけたらと思います。
脊損35年生の後遺障害の状況
まずサンプルとなる脊髄損傷者の受傷状況を記載します。
▼脊損35年生の受傷状況
- 脊髄の7-8番を圧迫骨折
- 完全麻痺
- 脊髄への手術は無し
こんな受傷状態で脊損人生が1986年6月からスタートです。
35年前の受傷当時から現在まで皮膚の感覚が戻るとか足が動くようになったとかの変化は全くないです。
では本題の後遺障害について説明します。
▼受傷当時からの後遺障害の状況
- 後遺障害の等級【1種1級】
- しっことうんちの排泄障害
- あたり前だけど歩行・立位ができない
- 皮膚や内臓の感覚障害(後角障害、後根障害)
- 夜の情事障害
ざっくりですがこんな後遺障害があります。
では次章で後遺障害の状況を詳しく解説していきます。
後遺障害の詳しい説明と対応方法
ではそれぞれの障害について当事者として触れていきます。
障害等級と体幹機能障害
- 後遺障害の等級【1種1級】
自分の身体障害手帳での障害名は脊髄損傷による体幹機能障害1種1級とされています。
体幹機能障害とは?
体幹機能障害は脊髄損傷あるいは頚損の後遺症などによる体幹(頸部、胸部、腹部及び腰部)の機能障害により、体位の保持等に困難を生じるものを言う。
一般的には体幹のみならず四肢にも何らかの障害が及んでいる場合が多く、下肢や上肢(特に下肢)との重複障害を持っていることがほとんどである。
【ソース】
つまり脊髄あるいは頸椎を損傷することで損傷した部位から身体の麻痺を負うので腹筋や背筋機能が働かず身体のバランス・保持が困難となります。
たとえばラーメンを食べるときに丼ぶりを両手で持ってスープを飲み干すという行為は自分の場合だったらできないです。
あと弁護士さんの交通事故による賠償請求の集客ページでは1種1級の障害について介護が必要となると記載されてます。
全面的介護が必要と解説の弁護士さんの集客ページ
>>https://www.kouishogai.com/standard/damageparts/sekizui.html
障害の認定や示談金などの請求の場面では全面介護が必要とされるのは現場での妥当な見解と思われますが必ずしも介護が必要となる深刻な状況ではないです。
自分自身の経験では病院の退院後、生活の場面で介護を受けたことはないです。
もちろん体調を崩したときなどそれなりに看病が必要な場面は発生しますがベッドの上で大便のトイレ介助を受けたりとか今まで経験はないです。
もちろん個人差はあるのでこの限りではありません。
しっことうんちの排泄障害
排泄障害のためにおしっことうんちが普通のように排泄できません。
対応方法としては膀胱の真上あたりを押さえる、あるいは軽く叩く方法で排尿する方法と導尿カテーテルで対処します。
自分は脊損になったばかりの頃からつい3年ほど前まで膀胱を押さえる方法で排尿してきました。
けれどいまはカテーテルの導尿に切り替え残尿もなくトイレの間隔が伸びて快適です。
▼就寝中のおしっこ対応
ベッドで休むときには留置バルーン(ナイトバルーン)で対応してます。
ナイトバルーンはカテーテルの先端が風船構造になっていて膀胱から抜けない仕組みです。
シリンジでバルーンに蒸留水を注入し使います。
蒸留水を入れる理由は空気だとカテーテルの先端が膀胱内で浮いてしまうからです、おそらく。
水道水をバルーンに注入するとカルキでバルーンの通り道を塞いでしまいカテーテルが抜けなくなると膀胱の手術になるぞとお世話になった医師から脅されました。
ナイトバルーンのデメリットは夜間の就寝中は膀胱内に尿が溜まらないのでどうしても膀胱容量が小さくなることです。
▼ウンチくんの対応
ウンチくんの対応が脊損にとっていちばん厄介で悩ましい問題です。
自分の場合は体質的に便秘なので毎日お腹がゴロゴロして頻繁に漏らすとか緩いぴゃーぴゃーのウンチでオムツが手放せないという状況ではなく比較的対処しやすい環境だと思ってます。
具体的な対応方法として週2回にトイレで籠る日を決めてヘロヘロになりながら頑張ってます。
つい最近になって良い漢方薬にめぐりあえていままでのしんどさから少し解放されました。
漢方薬は【大柴胡湯(だいさいことう)】です。
2021年度版のうんちくん対応方法を下記記事にしたためました。
歩行・立位ができない
当然ですが歩くことはおろか立つことさせできません。
けど車いすで移動できるし、ちゃんと事前に調べて対応をお願いすれば車いすでも難しい施設や場所でも介助してもらえたりします。
脊損になって35年も経てば歩けないことにぜんぜんハンディキャップを感じないです。
まあ物理的なムリなことも多いですし妥協することもたしかにあります。
けど楽しめることで楽しめば良いだけです。
▼皮膚や内臓の感覚障害(後角障害、後根障害)
排泄障害にも関連するのですが背骨の損傷した部位から下は皮膚の感覚がありません。
なので足の指の爪を剥がしても痛みがなく出血していることに気づくまで分からないです。
以前に調理していてちゅんちゅんのフライパンを太ももに乗せてしまい大やけどを負いました。
日常生活で特に注意しているのは車いすから自動車への乗り移りのときなどお尻をぶつけて傷や褥瘡ができないことに神経を使ってます。
いまでもベッドで休む前に鏡でお尻を確認して傷の確認と赤くなってないかとかをチェックしてます。
内臓の感覚もないのでお腹を壊してハラが痛いという感覚もないです。
なので食べ物や冷たい飲み物を摂ることにかなり神経質になってます。
今回この記事をまとめるにあたって内臓の感覚障害のことを【後角障害、後根障害】と呼ばれていることを初めてしりました。
まだまだ勉強するべきことはたくさんあります。
【ソース】>>脊髄の後角障害、後根障害について
夜の情事障害
ちょめちょめができないです。
ちょめちょめはあのちょめちょめです。
でも人間には愛情があるのでちょめちょめがかりにできないとしてもご婦人さまとお付き合いしたり人生の伴侶となる人と結婚生活を送れます。
ちょめちょめの対処方法はみなさんご自身での工夫があります。
一般的なちょめちょめはできなくても工夫とお互いを想う気持ちがあれば乗り切れます。
普通ってなんだ?
だからなんだ?と考えましょう。
我々はそもそも普通ではないイビツな人間同士なのです。
普通を求め過ぎるのです。
オリジナルな世界観で生きましょう。
たしかに障害者との交際はハードルも存在します。
ご両親に反対されるとか周囲の理解が得られないなど。
そこを突破できるかが結局、自分に【芯】があるか無いかということになってくるのではないでしょうか。
一般的なちょめちょめが叶わなくても自分にちゃんと【芯】があれば人は好意を寄せてくれます。
つまり人間性です。
ちょめちょめや障害、環境のせいにせず人間性を磨くことを考えましょう。
35年後の後遺障害の状況まとめ
結論的には受傷から35年経過した現在でも後遺障害にそれほど変化はないです。
ただ身体的な骨格の歪みなどもかなり目立つようになってきました。
たとえば猫背とか背骨の歪みです。
背骨は猫背の方向にも脇腹の方向にも歪んできました。
こうしたことが神経的な痛みとしびれを誘発しているようです。
実際にそのしびれで夜もあまり寝れなかったりします。
もう身体の歪みとしびれは慢性的な症状になってます。
少しでも緩和したいと週に1度、鍼灸院で治療を受けてます。
真冬の冷えや真夏のクーラーは代謝が低い脊損にとって対策が必要です。
できるだけ体を温めるように工夫しています。
あと体力低下を補うトレーニングも重要です。
最近はプール通いを始めました。
後遺障害に対処するためにも日々の注意と体力が大切だと思ってます。
ぜひぜひ悲観せずにご自身の立場で良い対処法を見つけていただけたらと思います。
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