電動車いすで電車の踏切りを横断する時のコツと注意事項!車いす初心者と介護者は絶対にこの記事を読んで!

自転車を乗りながら踏切りを渡る時にうっかりレールにタイヤを取られて転倒したとか、コケそうになって「ヒヤッ」としたという体験を持つ人は意外に多いのではないでしょうか?

自転車のハンドル操作が悪ければ転倒してしまいそうになるほどの電車の踏み切りは、もちろん車イスにとっても危険な存在となります。

なぜなら車イスの前輪はキャスターと呼ばれるサイズの小さい車輪のために線路のレールと凹凸に引っかかって前のめりになってしまうことや、レールの窪みにキャスターがはまり込んでしまうと最悪のケースでは電車に跳ねれれてしまうという危険な事態に陥ります。

こうした車イスと電車の踏切の特性を理解していなければ本当に危険な場面に遭遇してしまいます。

そこで脊髄損傷の障害を持ち、車いす生活30年の立場から「車椅子の踏切りの安全な渡り方」をご説明したいと思います。

車いすので道路を通行するときの注意事項

日本の道路や歩道は残念ながら車椅子で安心して通行できるように作られていません。

歩道は狭く、路面は急な角度で斜めになっていてあちこちに原付バイクや自転車が違法駐車されていて車椅子の通行を遮り、やむなく自動車がびゅんびゅん走る車道へと出なければならないこともあるほどです。

車道から歩道には必ず段差が存在し、体力の無い高齢者ではとてもではありませんが歩道に上がることすらできないのが現在の状況です。

もちろん電車が道路を横切る踏切も車椅子にとっては厄介な存在です。

事故やトラブルに遭遇しないために、しっかりと車いすと踏切の特性をしっかり把握しておきましょう。

◇車椅子の特性とは?介護する人間も理解するべき

自走タイプの車いすは前輪キャスターに直径の小さな車輪が装着される設計になっているのでごくわずかな段差でもつっかえてしまう場合があります。

健常者のひとが普通に歩くスピードであっても車いすで段差に躓いてしまうと車いすに乗っている人間は進行方向へ身体が倒れたり、最悪の場合は前方へ転倒するケースもあります。

こうした車いすの特性を車いすを使う人間も介護する人もしっかりと把握しておく必要があります。

◇踏切の特性と危険性

何気なく横断する踏切はよく観察してみると、場所によっては線路と道路が直角に交差していない踏切が存在しています。

渡ろうとする踏切に対してレールが斜めになっているような状況です。

このような踏切を車いすあるいは自転車で渡る場合は特に危険で注意が必要です。

ちょっとした段差でもひっかかる特性を持つ車いすの前輪キャスターは線路のレールに対して90°(度)の角度で進入しなければなりません。

イメージでいうと十字の角度でレールを越えるような感じです。

でも踏切と線路自体が十字の角度になっていなければ、車いすの進入角度を調整する必要があります。

この場合、自動車の進路をかぶせるように線路と車いすの角度を90°にしなければなりませんので後方や前方から進入してくる自動車の存在にも注意が必要です。

踏切内には線路のレールが合計4本配置されています。

1本づつ横切るときに、車いすとレールの角度が十字の角度になるように渡りますから、軌道のイメージはジグザグになります。

間違っても車いすの進入角度に対して、緩やかな角度でキャスターがレールを越えようとするとレールの窪みにキャスターがはまり込んでしまい立ち往生となります。


本当に危険ですから車いす、電動車いすを使う人、介護する方は絶対に侵入角度を十字に保ってください!

さらに、踏切の中は傾斜や勾配が付いている場合が多く車いすの前輪に重心が掛かりやすくなるので余計にキャスターがレールの段差にひっかかる状況が発生します。

踏切でおさえておきたいポイント
  • 線路と道路(踏切)の交差角度
  • 踏切内の路面勾配
  • レールを越えるときの車いすの角度
  • 車いすで道路や踏切を安全に通行するためにキャスターアップは必須

    自走式車いすに乗って自由に外出できるような人は安全に快適に車いすで通行するために前輪をリフトさせるキャスターアップが必須です。

    このキャスターアップはオートバイでいう所のウイリーの技術が必要です。

    歩道と車道の境目に必ず存在する段差も少しだけでもキャスターを上げることで車いすを歩道に乗り上げることが出来ます。

    危険な踏み切りもレールを乗り越えるときにキャスターアップが出来ればレールのくぼみにキャスターが引っかかることなく通過できます。

    このキャスターアップをマスターしているのと、出来ないのでは車いすでの外出の自由度が大幅に変わってきます。

    でも、障害の程度や状況によって車いすを使う人のすべてがキャスターアップを習得できるワケではありません。

    脊髄損傷の障害であれば、ほとんどの場合両腕は自由に動かせることが可能ですから、訓練と適正次第でキャスターアップをマスターできるでしょう。

    でも、頸椎損傷の方や筋ジストロフィーあるいは片麻痺の障害をお持ちの方には車いすの前輪をリフトさせることはまず困難です。

    ですからキャスターアップしなければ危険を回避できない、危なくて車いすでは外出出来ないという問題が日本の道路環境の大きな課題であると思います。

    ◇キャスターアップのやり方

    車いすのキャスターアップの方法をまず前輪が浮く感触を掴む所から説明します。

    1. 車いすに腰を深くまっすぐに座ります。
    2. ハンドリムを後方に引き少し車いすを後退させます(ハンドリムとは車いすの車輪を漕ぐために手で握る部品のことです。)。
    3. ゆっくりと後退させたタイミングでハンドリムを握りブレーキをかけて車いすを停止させます。
    4. 反動の力で車いすの前輪が浮くような挙動が生まれます。
    5. この動作を何回もくる返し前輪が浮く感触を掴みます。

    感触が掴めたら本格的にキャスターアップさせてバランスを取る練習に入ります。

    1. ハンドリムを前方に握り漕ぎ出すタイミングと同時に腰を少し後ろに仰け反らすような動作を行います。
    2. うまくタイミングが合えば漕ぎ出す腕の力をそれほど入れなくても簡単に前輪が上がります。
    3. キャスターがフワリと上がったらバランスを取り前輪をあげたまま保持します。

    漕ぐ力が強すぎると後ろに転倒してしまいます。

    注意
    ※安全なマットレスを用意し万全の体制で行ってください。

    ※理学療法士さん立会いの元指導を受けてください。

    ◇キャスターアップを完璧にマスターしなくても大丈夫!

    簡単にですがキャスターアップの方法をお伝えしました。

    でもキャスターアップはある程度の運動機能が必要となり重度障害があるとマスターするのは難しい技術です。

    しかし少しだけでも前輪を浮かせられる感覚を掴んでおくと歩道の段差の乗り越えや踏み切りの通過が安全になります。

    つまり踏み切りのレールを車輪が通過する直前のタイミングでちょこっとでもキャスターを浮かせることができれば全然違います。

    気をつけてもらいたいのは中途半端に前輪を浮かせて線路のくぼみにキャスターがハマってしまうとかなり危険です。

    完璧にバランスをとって前輪を宙に浮かせるのは無理でも線路ほどの距離を前輪をジャンプさせることができるようになれば十分ではないでしょうか。

    ぜひ理学療法士の先生にご相談してみてください。

    車イスで踏切を横断する痛ましい事故と背景

    たびたび車いすや電動車椅子を利用する高齢者やお年寄りの踏切での事故が報道されています。

    車いすを使うひとりの人間として心が痛みます。

    そのような事故が発生した要因と原因はまさにこの記事で述べている車いすの特性と踏み切りの構造が起因していると思っています。

    その上で、そのような特性と踏み切りの危険性をはっきり認識しないままあるいは認識する機会が得られないまま車いすや電動車いすを与えられ利用に至った背景があるのではと考えました。

    例えば僕のような脊髄損傷の障害を持った人間がある日を境にいきなり車イスに乗って出かけるようなことは絶対にあり得ません。

    車イスに乗るまでの過程として入院→治療→リハビリ→車イスの訓練という流れになります。

    車イスのトレーニングや社会復帰を想定したリハビリは国家資格を持った理学療法士の専門家から指導を受けます。

    ぼくも入院中のリハビリで担当の理学療法士(PT)から車イスの操作から始まり、病院外に実際にでて段差の乗り越えられる方やキャスターアップ、踏み切りの横断に至るまで指導を受けました。

    ですので身体障害手帳を持っていて車イスを利用するようなケースの場合にはほとんどの人は病院で指導を受けていますから道路や踏み切りの危険性を把握しています。

    ◇お年寄りが電動車椅子を使うケースの盲点

    でも、問題は健常者のお年寄りが足腰が弱ってきたので福祉機器レンタル会社から提供された電動アシスト付き車イスなどを使い始める場合です。

    果たして専門家や福祉機器販売店から車イスの特性や道路での危険性、踏み切りの構造などちゃんとした指導や情報を得ているのでしょうか?

    車椅子の踏み切り事故が起きないための提案

    まさかとは思いますが、電動車椅子を提供する業者やスタッフは車椅子の特性を説明せずに丸投げで利用者さんに車椅子を渡していないでしょうか?

    お伝えしているように車椅子はただ両手で車輪を漕げば良いという簡単な物ではありません。

    家族が車椅子の知識がないままひとりで出かけて痛ましい事故に遭うなんて絶対に避けたい事です。

    そのためには車椅子とトレーニングをセットで提供するようなサービスが必要なのではと思います。

    現在の車椅子を扱う業者さんは当然ながら健常者の方もおられます。

    色々と勉強なさっておられるとは思いますが理学療法士のような専門家ではない人間が車イスの特性をしっかり掴みお客さんに情報として提供できているのかがポイントです。

    もちろん、年配の方々が多いので説明しているけども理解していない、忘れてしまっているということも十分に考えられます。

    どうか関係者さまやご家族さまは大切なお父さまお母さまに電動車椅子を与える前に車椅子の特性と道路事情をよく説明しトレーニングを行ってからお一人でのお出かけをお許しなさるべきだと思います。

    そして業者選びも慎重になさってください。

    悪い人達はばかりではありませんが親身になってくれる業者さんもなかなかお目にかかれないのも現実です。

    車椅子の乗り方や道路の危険なポイントを伝えるなんてことは普通の人間にはなかなか出来ません。

    でも、そんなことを伝えられる一番近いポジションにあるのが車椅子を専門的に扱う業者さんではないでしょうか?

    まとめ

    今一度、福祉機器を扱う業者さま販売店さまは業務内容の見直しを検討されてトレーニングを含めた商品の提供を望みます。

    業者さんだって自分達が売った車椅子に乗ったお客さんが事故に遭って欲しくないハズですよね?

    もちろん本人さんとご家族さんの危険意識も大切です。

    世の中捨てたものではありませんし、もし外出中に段差が越えられなくて車椅子でジタバタしていても誰かがチカラを貸してくれます。

    踏み切りがヤバそうなら誰か呼び止めて一緒に渡って貰いましょう。

    不幸な事故を起こさないためにも車椅子デビューの初心者さんやご家族さまは道路には見えにくい危険が潜んでいる事を知っておいてください。

    よろしくお願い致します。

    脊損さん
    今回の記事についてご感想いただければ嬉しく思います!

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    オートバイ事故で脊髄を損傷し下半身不随の身体で50歳という年齢を迎えることができました。 交通事故で車いす人生を送ることになってしまいましたが30年間の中で色々とチャレンジしてきたことをこのブログでお伝えできればと思っています。 主なテーマはつぎのようなカテゴリーです。 ・障害や脊髄損傷に関すること ・オートバイとサイドカーに関すること ・エレキギターに関すること ・柴犬に関すること ・その他 取り留めない内容をお届けするかと思いますが、よろしくお願いいたします。