今回の記事は脊髄損傷の下肢完全マヒの立場で湿潤療法パッドのハイドロサイトジェントル銀についてメリットや有益性について印象をまとめます。
下半身に感覚がない脊髄損傷者にとって腰や臀部、仙骨部に傷ができてしまうことは少なくありません。
例え小さな傷だとしても日中生活のほとんどが車いすに座りっぱなしで過ごすことになる車いすユーザーにとってお尻にできてしまった傷口は褥瘡になりかねない危険な存在です。
障害者スポーツや競技などで傷ができてしまう場所はお尻だけでなく背中に出来てしまうことも少なくはないです。
これまでの脊損人生で褥瘡に悩まされ競技スポーツなどを経験してきた印象を盛り込みながらハイドロサイトの魅力を引き出してみます。
傷の処置にハイドロサイトジェントルを活用
これまで傷が出来てしまった場合は薬局やドラックストアで購入出来る傷あてパッドなどを使用していました。
しかし傷あてパッドよりも車いす生活に活用できると思ったのがハイドロサイトジェントルです。
ハイドロサイトジェントルは傷口の湿潤状態を維持しながら治癒促進を目的したドレッシング材です。
ドレッシング材とは傷口から発生する浸出液を吸収してゲル化させる事で、傷口を湿った状態を維持します。
この仕組みによって傷口が治りが促進されるとされています。
実際にこのハイドロサイトジェントルを背中に出来てしまった傷に貼ってケアしましたが従来の傷あてパッドよりもかなり早く治ったので驚いています。
傷痕もほとんど目立つことなくキレイな状態で治すことが出来ました。
ちなみにハイドロサイトジェントルには幾つかの種類が存在します。
現在利用しているのはハイドロサイトジェントル銀という商品ですが抗菌効果のある銀素材を含んでいて感染リスクを弱める働きを持っています。
次にハイドロサイトADジェントルは銀が入っていないだけで上記のジェントル銀と価格もほぼ同じです。
さらにハイドロサイトプラスというバリエーションでは粘着素材ではなく固定する為テープで止める形状です。
ハイドロサイトジェントル銀の特徴と有益性
ハイドロサイトジェントルは傷口側に触れる表面の素材はシリコーンゲルで出来ている素材で肌に優しい粘着性を持っています。
パッド全面に粘着性があるのでサージカルテープやフィルムで貼り付ける必要がないので簡単に傷口に貼り付ける事が出来ます。
特に背中やお尻などは自分でガーゼなど貼りにくい部位です。
これまで鏡を見ながら位置を確認してサージカルテープでガーゼを止める処置をしていました。
その点ハイドロサイトジェントルは接着面を保護しているフィルムを剥がすだけでスグに傷口に貼り付ける事ができるので鏡を見ながらの処置がずいぶんやり易くなりました。
おそらく介護者さんに処置していただくような場合でも使いやすい物だと思います。
ハイドロサイト自体は厚みがある素材で出来ており触った感触はふかふかとした感触があります。
素材自体の厚みは約5ミリほどあるのでクッション性の効果もあります。
こうしたハイドロサイトの厚みのある素材の効果で傷口から染み出してくる浸出液と呼ばれる液体を吸い込む構造になってます。
傷口から染み出る浸出液は細菌の発生を防ぐ役割があるとのことですが時に浸出液が影響し傷の治りを遅らせるケースがあるようです。
実際にぼくも浸出液が皮膚で停滞し白くふやけた状況を確認しています。
このような場合なら浸出液を吸収するハイドロコロイド製剤の活用は有益だと考えます。
パッドは防水性があるので軽いシャワーぐらいなら濡れてしまっても剥がれることは無く問題ありません。
競技スポーツの場面でハイドロサイトを活用
パラリンピック競技の車いすフェンシングに関わり世界選手権などに参加してきました。
毎週の練習に参加していますがやはり競技中の動きで背中の皮がめくれて出血することがあります。
傷が出来てしまうと練習が出来なくなるので、傷ができないようにあらかじめハイドロサイトを貼って予防しています。
ハイドロサイトの厚みのあるクッション性が摩擦で皮膚がただれたりするような部位の傷予防に大きな効果があり貼っておくことで安心して練習が出来ます。
ハイドロサイトは粘着力があるので一度皮膚に貼り付けた後、剥がして再度使用しても粘着力は落ちることありません。
自分の場合は予防用途で使う時に限り粘着力が落ちきるまで約4数週間以上使い続けています。
もちろん皮膚に傷がない場合です。
もし仮に傷があるのに再使用を何度も繰り返したハイドロサイトを貼るとバイ菌が入り感染する危険性があるので絶対に皮膚に傷がない場合のみ再使用しています。
このような衛生的な問題もあるのでハッキリ言ってオススメ出来る方法ではありません。
けれどハイドロサイトを養生パッドとして考えるならフカフカの弾力性が摩擦の吸収にかなりの有益性を感じます。
あくまでハイドロサイトの商品説明にも禁止事項として再使用禁止とありますのでご注意下さい。
ハイドロサイトの入手とデメリット
ハイドロサイトはアマゾンでも購入することが可能ですが、病院での処方が可能です。
もし褥瘡につながりそうな傷がある場合なら診察を受け医師の判断によりハイドロサイトを処置で使ってもらうことも可能だと思われます。
しかしハイドロサイトの具体的な処置にあたりドレッシング材が特定保険医療材料であるため保険適用によって基本的に二週間の期間と限定されます。
例外的に一週間の延長期間がありますが長くても三週間の期限の中でしかドレッシング材を使った処置を受けることは出来ないようです。
化膿するような褥瘡の状態になってしまってはいくらハイドロサイトであっても傷が治るまでかなり日数がかかります。
保険期間を過ぎると経済的な面でも負担は大きくなるので出来れば傷の状況が深刻ではない初期段階でハイドロサイトジェントルを活用して早く傷を治したいですね。
ドラックストアで販売している傷パッドであっても毎日交換するとなるとハイドロサイトジェントル一枚分ぐらいの費用は充分かかってくると思います。
安くはないハイドロサイトジェントルです。
けれど傷の状況によってはチマチマと傷パッドを購入し日々交換しながらケアするよりもハイドロサイトを四、五日ほど貼りっぱなしの状態で早く治したほうが結局経済的なような気もしました。
まとめ!
ハイドロサイトを使った傷口のケアと予防についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
ハイドロサイトではありませんが、一般のドラッグストアでも同じような機能を持った湿潤治療を目的とした傷パッドが販売されているので試してみるのも良いでしょう。
ですがこの傷パッドなども結構良い値段がするものです。
そこで実践している節約的な活用方法がハイドロサイトを傷口の大きさに合わせて切り取りフィルムやシートなどで剥がれないように固定する方法です。
この方法なら経済的にハイドロサイトを活用できますし、小分けに使えるのでドラッグストアで購入するやや割高な傷当てパッドよりもしかしたらお得かもしれません。
この場合に切り取ったハイドロサイトを貼り付けるの便利なのが下記の固定用伸縮シートです。
傷をつくりやすい車いすユーザーの生活で褥瘡やちょっとした足にできた傷の手当でガーゼや傷の治療は欠かせません。
その時にこのシートがあると重宝します。
価格も安くたくさん入っているので経済的です。
高価なハイドロサイトジェントルを経済的に使うためにも常備しているアイテムです。
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